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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:04:34.15 ID:9/am/Wel0

( ^ω^)「やめて ぼくは 12さいの かわいい ブーン だよ」

ξ゚⊿゚)ξ「は?」

僕の呟きに、スーファミの摩訶摩訶をプレイしていた彼女が振り向いた。
彼女の名前はツン。
30年以上前に発売された家庭用ゲーム機をこよなく愛する大学の後輩だ。

同じ研究室に配属されて、ゲームの話で意気投合。
それ以来、ツンは何かと僕の部屋にやってきてはゲームをしていく。

( ^ω^)「いや、言ってみただけ」

ξ゚⊿゚)ξ「………………あっそ」

( ^ω^)「あ、そいつ育ててもずっと弱いままだし、守備力バグあるお」

言いつつ、僕はソニーのSCD-XE600にCDをセットした。
スピーカーからスティーブ・ドブロゴスが流れ出す。
ゴスペルに独特の、厳かでいて軽快なメロディーにツンの眉が顰められた。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:05:19.64 ID:9/am/Wel0

ξ゚⊿゚)ξ「やめて。あたしゴスペルとかクラシックとか賛美歌とか嫌いなの」

( ^ω^)「なんでだお」

ξ゚⊿゚)ξ「だって、古臭いし黴臭い。それにゴスペルは、」

無駄に明るくてイライラする。
ツンの言葉にCDを止める。
すると、窓際に置かれた水槽から甲高い鳴き声が上がった。

ξ゚⊿゚)ξ「なにあれ」

( ^ω^)「星。賛美歌が好きだから、止められて怒ってるお」

ξ゚⊿゚)ξ「警察に見つかると拙いんじゃないの。星を置いとくの違法だし」

ツンの言うとおりだった。
星を地上に置きっぱなしにしておく事は豊橋市の条例に違反している。

僕の生まれた頃にはもう、人権擁護法案のおかげで豊橋市には空の星達が相次いで落下してきていた。
落ちてくる星に頭を割られる奴が続出したし、
星たちの方からの苦情もあって、落下してきた星は空に返還しなくてはならない条例ができた。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:06:04.67 ID:9/am/Wel0

( ^ω^)「いいお。ヤバくなったら捨てるし」

ξ゚⊿゚)ξ「ふーん。でも星なんてどこで拾ってきたの」

( ^ω^)「大学に入学する前の兵役の時だお」

ツンはスーファミのコントローラーから手を離すと僕と向き直った。

ξ゚⊿゚)ξ「詳しく話してよ」

( ^ω^)「めんどいお、それに」

僕は部屋の隅の掛け時計を見た。
もうすぐ、ジャック・ニコルソン主演の『ファイブ・イージー・ピーセス』が始まる。

( ^ω^)「もうすぐ洋画劇場が始まるお。」

ツンは不機嫌そうな顔で、スーファミの電源はそのままにチャンネルだけ変えた。
洋画劇場が始まる。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:06:41.56 ID:9/am/Wel0

ξ#゚⊿゚)ξ「見ながらでいいから話して」

ツンは一度興味を持つと、納得がいくまで話を聞きだそうとする。
さて、どこから話したものかな。
頭の中でため息をつきながら、僕は口を開いた。


■ ■ ■



('A`)「しまった」

深刻そうな声色で彼がそう言った。

( ^ω^)「どうしたお」

彼は同じ分隊に配属された狙撃兵だ。
敵兵から奪ったドラグノフ狙撃銃を何時も大事そうに抱えている。
彼はそれで何時か日本を覆う閉塞感を撃ち殺すのだと自慢していた。

('A`)「星を撃ち落してしまった」

言うなり、彼は遠方を指差した。
そこには真昼の砂漠の上にあって、なお強烈な光を放つ星が落ちていた。
僕らが近づいていくと星はキィキィ、と鳴き声を発した。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:08:34.95 ID:9/am/Wel0

甲高い、悲痛な呻き声だった。
星は欠けていた。
途端に僕等の胸に、言い様の無い罪悪感が押し寄せてきた。

('A`)「むしゃくしゃしていたんだ。適当に空を撃ったら」

偶然撃ち落してしまったんだ。
切羽詰った表情で彼が言う。

( ^ω^)「落ち着くお。取り合えず、」

誰かに見つかる前に持って帰ろう。
そう言い終わる前に、此方に向かって飛んでくる友軍のUAVに気がついた。
僕は分隊支援火器を放り出すと、慌てて星の上にメットを被せた。

('A`)「今の撮られたかな」

( ^ω^)「さあ」

上空を通り過ぎていくUAVを見上げて、僕らは言葉を交わした。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:10:38.88 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


ソマリア沖近海で自衛隊法に基づき海上警備を行っていた4400t型護衛艦「さみだれ」は、
24日未明に海賊行為を行っていた一団を拿捕、海賊と見られる男女8人とトナカイ1頭の身柄を現地警察に引き渡しました。
一団のリーダーと思われる男は一つなぎの大秘宝を見つけ、海賊王になる等と意味不明な証言を繰り返しており、
現地警察では今後も―――


■ ■ ■


  _
( ゚∀゚)「なにそれ。なに。光ってる」

( ・∀・)「光ってるし。きめぇ。マジきめぇ」

キャンプに戻ると小隊のメンバーが星に群がってきた。

( ^ω^)「星。なんか空から自然に落ちてきたお」

( ^^ω)「明日ぶり!何 か【俺】私に (注・頑張れ)もる 仕(見え《通行禁止》てます)事が」

マルタスニムは瀬川が興奮した様子で叫んだ。
彼は以前、頭を負傷した際に言語野がおかしくなっている。
何を言っているかわからないが、適当に相槌を打つ。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:11:54.16 ID:9/am/Wel0

( ^^ω)「と思【秋秋秋秋秋eeee秋eaaaaa(これから)aauu原原原uu原u原uuuu原uuuujjjj原jhjhhh!】った今は派」

( ・∀・)「とりあえず水無いとやばいんじゃない。苦しそうだし」

( ^ω^)「丁度、この前死んだギコの水筒が余ってるお」

僕は水筒に水を汲むと、そこに星を放り込んだ。
星は嬉しそうに身震いすると、水筒の底に沈んでいった。
  _
( ゚∀゚)「名前とかつけた方がいいんじゃね」

( ^ω^)「名前………ね、どうするお」

僕は狙撃兵の彼に尋ねた。
本来なら狙撃兵は観測手と行動を共にし、一般兵には近寄らない。
しかし彼は正規のスナイパーではなく、狙撃銃を愛用するだけの一般兵だ。

狙撃が得意な一般兵、所謂シャープ・シューター。
彼はもはや星になど興味は無いとでも言いたげに読書に没頭していた。

( ^ω^)「何読んでんだお」

('A`)「『わたくし率 イン 歯ー または世界』。川上未映子のやつ」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:13:13.11 ID:9/am/Wel0

彼は本を置くと僕等に向き合った。

('A`)「この本でも書いてあるんだけど」

( ^ω^)「うん」

('A`)「僕達は一体どこでものを考えてるんだろう」

( ^ω^)「いや、普通に脳だお」

('A`)「でもきみ、脳を外してものを考えようとしたことあるのかな」

( ^ω^)「じゃあ、僕等はどこでものを考えてるんだお」

('A`)「小指だと思う」

彼は大真面目に自分の足の小指を指差した。

('A`)「小指ってタンスとかの角にぶつけると物凄く痛い」

( ^ω^)「まあ、確かに」

('A`)「普段大して役に立ってないけど、実はこれはすごい大切な部分なんじゃないかな」

( ^ω^)「だから僕らは足の小指でものを考えてると」

('A`)「そうじゃないと、何で足の小指が存在してて、しかもぶつけると痛いのか説明できない」

( ^ω^)「いや、その理屈はおかしい」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:16:04.57 ID:9/am/Wel0


すると彼は気分を害したようで、
僕を説得するために身体的、遺伝的、学術的、文学的、近未来的な様々な観点から九つの自論を展開し、
ものを考えるという機能の全てが僕らの左足の小指に集中しているという事を完璧に論証してみせた。

( ^ω^)「でも、」

そんなの常識的じゃない。
  _
( ゚∀゚)「そろそろ時間だ」

同じ分隊のジョルジュ長岡が言った。
今日も、焼けた石に水をかける作業が始まるのだ。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:17:34.99 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■



「子供達を人質にとるなんて汚いぞ………っ!」

3ゲットロボは叫んだ。
目の前に居並ぶ悪逆非道の集団が許せなかった。
集団の中から一人の男が前に出た。

「我々に汚いは褒め言葉だ………。君に3を取られると困る人間が大勢居るのだよ………!」

3ゲットロボは目の前の集団を皆殺しにしてやりたい衝動を必死に抑えていた。
子供達を人質にとられている以上、3ゲットロボに選択肢は無いのだ。

「畜生………っ!これからも3は取らない………これで満足か………っ!」

歯軋りする3ゲットロボを尻目に男が笑い声を上げた。



■ ■ ■



/ ,' 3「我々、第11歩兵大隊はこれより第5、第6機械化中隊と共に荒巻支隊を形成し、師団本隊の奇襲を支援する」

居並ぶ兵卒や下士官達に、正面に立った大隊指揮官の荒巻中佐の声が響いた。
僕達はそれを聞きながらも小声で話し続けた。
星の名前が結局うやむやになっていたからだ。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:19:15.97 ID:9/am/Wel0


/ ,' 3「作戦結構は本日2300。我々は―――」

地雷原の連隊用通路を通って丘付近に布陣する敵の自動車化狙撃兵旅団『偉大なる2月革命90周年』部隊へ、
敵軍の縦深を分断する形に奇襲をかける。
まともに敵の狙撃兵旅団と殴り合えば火力の差で、こちらが叩き潰されるのは明白である。

よって我々の第一目標は敵の火線をこちらに集中させて師団本隊の浸透強襲を支援することにある。
まずは初手でもって『偉大なる2月革命90周年』を全滅させ、出来れば壊滅に追い込み、
そのまま後方に布陣する砲兵大隊『プロレタリアート階級闘争同志』と『記念すべき祖国戦争勝利記念』を………


荒巻中佐の早口のような説明が続いた。
その間も僕らは星の名前について話し合っていた。
  _
( ゚∀゚)「だからさ、『COIL2ndアルバム11曲目最高!』とかどうかな」

( ・∀・)「おまえCOILが好きなだけだろ。マイナーバンドオタク消えろ」

( ^^ω)「そ の日~『返せ^^よ』鞍で^も?は己の影の下で己自身の目を磨く」

( ・∀・)「何言ってるかわかんねえよ池沼。喋んな。うぜえ」

('A`)「それで、結局どうするんだい。この星の名前は」

( ^ω^)「作戦行動中に考えればいいお。終わったら決めるお。本気で戦争するとか、」

本当にめんどくさいし。


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:20:30.50 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


コンビニの前を流行が歩いていた。

「やめて、乗り遅れちゃう!行かないで!」

僕は必死に走り出すのだけれど、ゆっくり歩いているはずのそれは遠くへ行ってしまった。
もう背中も見えなかった。


■ ■ ■


女→働きマン

男→働きチン?


■ ■ ■


結論から言うと奇襲は失敗した。
地雷原に用意されていた通路の目印が適当だったせいで、僕達は地獄の釜の上を行進してしまった。
あっと言う間に敵に見つかった僕らは集中砲火を受けた。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:22:05.14 ID:9/am/Wel0

僕は命からがら砲弾の嵐の中を蛆虫のように這いずり回った。
側に着弾を受けたせいか音が全く聞こえない。
無音の世界の中で壕を見つけ、無我夢中で潜り込んだ。

酷く惨めな気分だった。
駆除される害虫というのは、こんな気分なのだろうと思った。

( ^ω^)「――――――」

何か叫んだつもりだったが、耳をやれているので何も聞こえない。
ただ只管に身を固めて震えながら過ごした。
やがて敵の砲撃が止んだ。

おっかなびっくり外に出る。
聴力も少しずつ回復してきていた。
外は死体だの壊れたAPCの残骸やらで埋まっていた。

その残骸の中に彼が居た。

('A`) 「やあ」

下半身は無かった。
彼の腹から下には、恐竜か何かに噛み千切られたような傷口だけが広がっていた。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:23:31.90 ID:9/am/Wel0

破れた腸から酷い便臭が漂ってきていたので僕は近づきたくなかったのだが、
彼が手招きするので仕方無しに近づいた。

('A`) 「足の感覚が無いんだ。もしかして、千切れてるかな」

( ^ω^)「だいたいそんな感じだお」

('A`) 「僕の、ドラグノフは、どこにあるかな」

( ^ω^)「きみが背中に背負ってるお」

('A`) 「そうか。でも、どうしよう、この手じゃもう、引き金を引けない」

よく見れば彼の手は人差し指と中指が欠損していた。
薬指は第一関節から先が皮だけでぶら下がっている状態だ。

('A`)「ああ、足が、無いからだ。左足の小指が無いせいだ。もう何も、」

考えられない。
それだけ言うと彼は目を閉じた。
もう二度とその口が開くことはなかった。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:25:30.27 ID:9/am/Wel0

あまりにも彼の便臭がきついので、僕はさっさとその場を離れた。

『おい、内藤くん』

僕を呼ぶ声が聞こえたのは、それから暫く歩いたときだった。
周囲を見渡すが人影は無い。

( ^ω^)「誰だお」

果たして、誰何の声に対する返事は下から響いてきた。

『足下に居るよ』

声に従って足下を見ると小さなプラスチック片のようなものが落ちていた。
爪だ。

('A`)『やあ内藤。大発見だ。俺たちは左足の小指の爪で思考していたんだ』

どうやら狙撃兵の彼の左足の小指の爪のようだ。

('A`)『左足の小指の肉は爪を守るためについてたんだ。本当にすごい発見だ』


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:27:22.82 ID:9/am/Wel0

左足の小指の爪だけになった彼は興奮した声色で続ける。

('A`)『でも困ったな。爪だけじゃ僕は歩けない。どうか運んでくれないかな』

僕は彼を拾うとポケットの中に入れた。

('A`)『ところでさ、』

( ^ω^)「うん」

('A`)『【さようなら栄光の荒巻支隊】なんてどうかな』

( ^ω^)「なにがだお」

('A`)『星の名前』

( ^ω^)「なんだおそれ、」

超ダサいし………………。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:29:26.23 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■



ξ゚⊿゚)ξ「なにそれ、すごい胡散臭い話」

ツンはそれだけ言うと、僕の話には完全に興味を無くしたのか、またスーファミに向き合った。
一通り摩訶摩訶をプレイすると、帰っていった。
僕は『ファイブ・イージー・ピーセス』に集中できなかったことが残念だった。

( ^ω^)「おやすお」

水槽の【さようなら栄光の荒巻支隊】に声をかけると布団に潜り込んだ。
【さようなら栄光の荒巻支隊】がキィキィ鳴いた。
さらに、その隣に置かれた小指の爪が何事かを喋ったような気がした。

目を閉じると、すぐに睡魔がやってきた。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:30:56.41 ID:9/am/Wel0

夢の中で僕は豚ばら肉を圧力鍋で煮込んでいた。
料理酒、砂糖、水、醤油を鍋に入れて、クッキングペーパーを被せると蓋を閉じた。
豚肉は中々柔らかくならなかった。

やがて何時間も豚ばら肉を煮込んでいるうちに、台所の扉が突然開いた。
誰だろう、と思っているとジャック・ニコルソンとスティーブ・ドブロゴスが顔を出した。

ジャック・ニコルソンとスティーブ・ドブロゴスは交互に僕の下を訪れると、
鍋の中に砂糖や醤油をさらに入れていった。
僕は困り果てながら豚ばら肉を煮込んだ。

さらに数時間が過ぎた。
そろそろ豚ばら肉も十分に柔らかく蒸れたかな。
そう思い、僕は蓋を開けるが、そこには豚ばら肉も水も料理酒も砂糖も醤油も、何もなかった。

なにもかもが、酷く馬鹿馬鹿しくなって鍋ごとゴミ箱に捨てた。
そこで目が覚めた。

( ^ω^)「意味が分からない」

テレビをつけると日テレではズームインが始まっていた。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:33:08.86 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


メンズナックル「ガイアが俺に輝けと囁いている」

ガイア「そんな事言ってない」


■ ■ ■


君は牛を二頭持っている。
二頭の牛が年老いて、絞めなければならなくなったとき、心の痛みを和らげて、人生に彩りをくれるのが野球の鈴木イチロ


二頭とも取り上げて隣の村に売り渡し、さらに君を牛の代わりに家畜にしてしまうのが野党の小沢一郎


■ ■ ■



ある日、とうとう僕が【さようなら栄光の荒巻支隊】を飼っていることがばれてしまった。

僕の家の隣には、中学校のとき担任だった渡辺先生という女の人が住んでいる。
彼女が洗濯物を干す際に、窓際に置かれた水槽の底で光るそれに気づいてしまったのだ。
手錠で両手を拘束された僕は、人権委員会惑星返還保安部の職員に引き摺られるように、施設に送られた


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:35:40.68 ID:9/am/Wel0


ある日、とうとう僕が【さようなら栄光の荒巻支隊】を飼っていることがばれてしまった。

僕の家の隣には、中学校のとき担任だった渡辺先生という女の人が住んでいる。
彼女が洗濯物を干す際に、窓際に置かれた水槽の底で光るそれに気づいてしまったのだ。
手錠で両手を拘束された僕は、人権委員会惑星返還保安部の職員に引き摺られるように、施設に送られた。

( ^ω^)「僕はどうなるんですお」

(・∀ ・)「うるさい。クズ。許可なくしゃべるな。殺すぞ」

( ^ω^)「不安なんですお。何か喋らせてくださいお」

(・∀ ・)「しつこいぞ。クズに人権なんかあると思ったか。次に口開いたら叩き殺すぞ」

乗り込んだ護送車の中で、乱暴な言葉遣いの職員に散々罵られた挙句、人権委員会の私的裁判にかけられることとなった。

都合の悪いことに、家宅捜索で禁止されている掲示板「2ちゃんねる」を利用していたことも発覚してしまった。

パソコンの履歴を消していなかったのを後悔したのは人生で二度目だった。
ちなみに一度目は中学校で図書館のパソコンからエロサイトを見ていたのをホームルームで議題にされた時だ。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:36:18.75 ID:9/am/Wel0

从'ー'从『今日のホームルームでは内藤くんと中嶋くん、高岡さんたちが図書館のパソコンで18歳未満は閲覧禁止のサイト

を―――』

中学二年生のときに担任だった渡辺先生の言葉が思い出された。
今思い出せば、少し変わったところのある人だった。
突然昼休みに教室にやってきては、六十年前の戦争でいかに僕達の先祖が隣国に迷惑をかけたか、

それを力説しては奇妙な署名用紙へのサインを求めてきていた。

(・∀ ・)「私は便所臭い2ちゃんねるを閲覧している低脳右翼のキチガイです、と一万回書け。クズ」

( ^ω^)「はい。申し訳ありませんでしたお」

(・∀ ・)「毎朝マルクスとT-72神に祈りを捧げろ。おまえはクズなんだから考えるな。言われたことにだけ従え。クズ」

こうして僕は一ヶ月のあいだ厚生施設へ収容された。
その後に自分の手で【さようなら栄光の荒巻支隊】を空へ返しに行かなければならなくなった。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:38:29.64 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■



从'ー'从「ごめんなさいね。内藤くん。私も躊躇したのだけれど、いけないことは、いけないことだから」

僕が厚生施設から帰ってくると、家の前では隣の渡辺さんが待ち構えていた。
思えば僕はこの先生が苦手だった。
中学二年生の教室が僕の頭をがつんとノックした。

渡辺先生は教室の中でチョークを黒板に擦りつけている。
彼女の下手糞な板書で黒板から奇妙に甲高い、きぃきぃ、という音が上がり、
最前列に座る僕はその音が大嫌いで、チョークと黒板の混ざり合った灰色の悲鳴が聞こえるたびに、

背筋を震わせて視線を先生に向けたまま、意識だけで教室を見回すのだった。
僕の意識が綺麗に教室をぐるんと一周した頃になると、大抵チャイムが鳴って僕は救出されたのだが、

閑話休題。
ともかく僕は渡辺先生に会うと、あの一時間の散歩を思い出して落ち着かない気分になるのだ。

从'ー'从「でも良かったわ。人権委員会の厚生施設で内藤くんも素晴らしい思想に触れて生まれ変われたでしょう」

( ^ω^)「はぁ………………」

この時の僕は、厚生施設という名の絶滅収容所での生活で衰弱しきっていた。
まともに言葉を返す余裕なんてなかった。

あばらの骨は浮いているし、体重も7キロは減ってしまっていた。
先ほど買ってきたペヤングとおにぎりを一刻も早く頬張りたかった。


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:40:02.43 ID:9/am/Wel0


从'ー'从「あ、そうだ。あのね。明後日、九条教の教会で名誉会長様の御説法があるの良かったら、」

( ^ω^)「あ、すいませんお。僕ちょっと用事あるんで」

渡辺さんを押しのけて玄関をくぐる。
後ろから、平和憲法を信じないと戦争に巻き込まれて死ぬわよ、という叫びが聞こえた。
くたばれ糞ばばあ。

ξ゚⊿゚)ξ「おかえり」

おにぎりとペヤングで空腹を満たした僕を、寝室で待ち受けていたのはツンだった。
プレステをプレイしている最中らしい。
毒々しい原色系の色彩を放つ、粗い3Dがテレビに表示されている。

ξ゚⊿゚)ξ「お前は次に『どうやって入った』と言う」

( ^ω^)「どうやって………………」

僕が憮然としていると、さらにツンが口を開いた。

ξ゚⊿゚)ξ「いや、どうやって、とかそういうのいいから」

ベッドの上には玄関の鉢植えの下に隠しておいた家のカギが放ってあった。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:41:31.61 ID:9/am/Wel0


( ^ω^)「なにやってるんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「LSD。話しかけないで。今黒い紳士来てるから」

窓際には【さようなら栄光の荒巻支隊】が一ヶ月前と変わらぬ姿で鎮座していた。
その隣にはやはり爪が置かれている。

ξ゚⊿゚)ξ「災難だったね」

暫くしてツンが話しかけてきた。

( ^ω^)「責任をもって星を空に返すように、って言われたお」

ξ゚⊿゚)ξ「ふーん、ま、頑張って」

( ^ω^)「まあ頑張るお」

それから数時間プレステで遊ぶとツンは帰っていった。


■ ■ ■


世界の中心が旅行に出かけた。
オーストラリアが言った。

「やめて!どこで愛を叫べばいいかわからなくなっちゃう!」


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:43:08.83 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


豊橋市は豊田市の植民地で、豊田市の工場で働く外国人労働者や期間工の寮がある。
それが一般的な日本人の豊橋市に対する認識だろうが、実はこれは全くの誤りだ。
まず豊橋市は豊田市とは結構離れている。

そして豊橋市は南セントレア市の飛び地である。
また、味噌とエビフライが主食である名古屋人や豊田市民に対して、
豊橋市民は和のスイーツを主食としている。

実際にこの説明が正しいかどうかは知らないが、
これを書いている現在、作者は昼夜逆転による壮絶な眠気でまともにものを考えられる状態に無く、
下調べする余裕も無いので勘弁して頂きたい。

( ^ω^)「あ、中部国際空港までのミュースカイの切符ください」

ミュースカイは中部国際空港と豊橋を結ぶ特急電車だ。
本来なら数ヶ月はかかる道程を三週間に短縮してくれる。
僕は中部国際空港からスペースシャトルに乗らなければならない。

【さようなら栄光の荒巻支隊】を空に返すためだ。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:45:12.39 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


無菌室のベッドの上に横たわるヒロが言った。

「やめろ!殺すぞ!」

しかしミカは口の端を吊り上げてヒロを見据えた。
毒の滴るような笑みだった。

「可哀想ね。可哀想なヒロ。何時もみたいに元気にほえてごらん」

ミカは嘲りを含んだ口調で言った。

「もうあんたはこの無菌室から出ることも出来ない。悪性リンパ腫?ざまあみろ」

ベッドに縛り付けられたヒロの上にミカが覆いかぶさった。
ヒロは必死の形相でミカをどかそうとする。
しかし彼の奮闘も虚しく、ミカの顔はヒロの顔へと近づいていった。

「知ってるヒロ、人の口の中にはね、物凄い数の『雑菌』が居るんだって」

ヒロがミカの唇を注視した。
その瞳には怯えの色が浮かんでいる。

「そしてあんたは今、『免疫力』が『完全に無い』。さよならよ」

ゆっくりと唇が重なった。

「あんたが三年も生きるとは予想外だったよ、ヒロ」


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:46:20.57 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■



「官僚になりたかった!」

ハットリくんは大声で叫びました。
大学受験に失敗して、家業を継ぐしかなかった事に未だにコンプレックスを感じていたのです。

「ああ、官僚になりたかったなあ!官僚になって国民の血税で霞ヶ関で豪遊してみたかった!」

シンちゃんが心配そうにハットリくんを見上げます。

「忍者になんてなりたく無かった!いまどき忍者とか仕事無いし。自宅警備とどこが違うの?」

そばで本を読んで居たケン一がハットリくんの大声に迷惑そうな顔をしました。

「勉強会と称してキャバクラで遊んで『僕達は貴族だから!』って言ってみたかった!あーあ!」

「ハットリくん、」

「なんだい、ケン一くん」

「うるさい」


47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:49:32.37 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


( ^ω^)「………………」

チケットを買って僕はミュースカイに乗り込んだ。
時刻は午前八時だというのに、外はまだ暗い。
【さようなら栄光の荒巻支隊】は水筒の中に入れてある。

指定席の番号を見る。4-A。窓側だ。
しかし僕が席にたどり着くと、そこには太陽が座り込んでいた。
外がまだ暗い理由が、ここにあった。

勝手に人の席で、しかも缶ビールと柿ピーを片手にもう出来上がっていた。
自分の席を取られただけでも頭に来たのに、仕事もせずにこの太陽は何をやっているのだろう!
急にイライラしてきた僕は、太陽の襟首を掴んで立たせると、その尻を思い切り蹴り上げた。

(#^ω^)「働け!馬鹿野郎!」

太陽はびっくりして僕の方を見ると、申し訳なさそうに頭を下げ、外へ飛び出していった。
ようやく空いた席に座り窓の外を見ると、明るくなっていた。

ようやく朝が来たのだ。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:52:08.08 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


「深海には長らく一次生産者、つまり植物やプランクトンのような存在が居ないと考えられてきました」

キラークイーンを謳い終えたフレディ・マーキュリーが私に言いました。
私は何故ですか、と聞きました。

「光が届かないからです。光合成をすることができないのです。だから、一次生産者は居ないと思われてきました」

今は違うんですか。

「海底から噴出す硫化水素を利用する化学合成細菌が一次生産者となっていることが発見されたのです」

成るほど。
私の目も光を映しません。
私には光がありません。

私の中にも一次生産者は居るのでしょうか。

「そんなの知らないよ」


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:53:42.11 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


( ^ω^)「………………」

どうやら僕は寝てしまって居たらしい。
ミュースカイはまだ中部国際空港には着かない。

('A`) 『まだまだ中部国際空港までは時間がかかる。ゆっくり寝ておけ』

彼が行った。
ポケットで携帯が震える。
ツンからメールだ。

ξ゚⊿゚)ξ『古代の遺跡でLv80まで上げてもゲマ倒せないんだけど。バグ?』

仕様だから。
それだけ返信すると僕は再び目を閉じた。


■ ■ ■


民主党代表、シャオツイーラン新総理と中国国家主席との会談の結果、
尖閣諸島は日本固有の領土であると完全に認められました。
帰国したシャオツ総理は、
「これからも日本自治区のために頑張りたい」
とのコメントを残し、鳩山議員や管議員との党内会議に………


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:55:43.75 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■

アタシ

ハルヒ

歳?

15

まあ今年で16

友達?

居る

てか

居ないわけないじゃん

みたいな


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:55:51.92 ID:9/am/Wel0

友達とは

SOS団っていうヤリサー



ドラッグパーティで

知り合ったし

「ガッシ!ボカ!」

スイーツ(笑)


■ ■ ■


君は牛を二頭持っている。
同じように君の隣人達も牛を二頭持っている。
君の牛の価値を高めつつも、隣人達に牛を所有することが如何に馬鹿らしく前時代的であるかを説く。
そして君は格安で買い叩いた隣人達の牛を隣の集落で売りさばく。

「それがマスコミの仕事ですね」


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:56:06.08 ID:9/am/Wel0

■ ■ ■


僕は目を開けた。

( ^ω^)「………………」

水筒の中を見るが、そこに【さようなら栄光の荒巻支隊】は居なかった。
狙撃兵の彼の爪も無くなっていた。

(;^ω^)「―――!!!――――――!!!!!」

僕は混乱しつつ彼らの名前を呼んだ。
しかし返事は無かった。

窓の外を見れば、巨大な建物が近づいてきていた。
出鱈目に入り組んだパイプやアンテナが奇妙なシルエットを作っている。
あちこちに設置された排気口から蒸気や煙を吐き出される。

中部国際空港だ。

(;^ω^)「――!!!?―――――――???――!!」

僕は必死に【さようなら栄光の荒巻支隊】を探すのだけれど、
【さようなら栄光の荒巻支隊】はもう影も形も無かった。


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:56:20.30 ID:9/am/Wel0

電車が止まる。
中部国際空港に到着したのだ。
どうしよう。

僕はただ、【さようなら栄光の荒巻支隊】を返しに来ただけなのに。
空になんて、用は無いのに。

『中部国際空港に到着しました。ミュースカイはここで終点となります』

アナウンスが流れた。

ここで終点となります。
ここで終点となります。
ここで終点となります。

僕はどうしたらいいんだろう。
【さようなら栄光の荒巻支隊】や狙撃兵の彼はどこに行ってしまったのだろう。

もしかしたら【さようなら栄光の荒巻支隊】も狙撃兵の彼も僕の妄想で、実在しないのかもしれない。
ここまでのお話も全部僕の作り話で、豊橋市も豊田市も名古屋市も南セントレア市も架空の都市なのかもしれない。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:56:33.34 ID:9/am/Wel0

( ^ω^)「さようなら、栄光の荒巻支隊」

彼らもまた、あの23時の無音世界の中に消えていってしまったのだろうか。
僕は呟くと電車を降りた。




                  ―おわり



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:57:42.50 ID:9/am/Wel0

軍事ものを書くつもりが何かもうどうでも良くなってこんな話になった。
反省はしていない。


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:59:29.02 ID:9/am/Wel0

支援ありがとうございました
ブーン小説とか二年ぶりに書こうと思って適当に筆を進めたらやる気が急に萎えてきた
なんかすまんかった。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:25:59.60 ID:4LkmjbZX0

話の入りって絶対少年の日の思い出をぱk……参考にしただろwww

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:06:50.72 ID:9/am/Wel0

>>24
話は全体的に高橋源一郎みたいなのを参考にしました

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 20:33:03.45 ID:4LkmjbZX0

ズームインがかなりの長寿番組にwww

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:08:29.41 ID:9/am/Wel0

>>30
一年以上もうテレビ見てないのでズームイン(ズームインスーパー?)まだやってるか知りません
もうやってなかったら申し訳ありません

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:10:19.76 ID:Kl54fywWO

難解な話だなあ

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:14:07.90 ID:9/am/Wel0

>>63
頭に思いついた単語から手当たり次第に文章にしていった感じなので、
そこでストーリー性が無くなっているんだと思います
すごい好きだ





  
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