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2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:04:00.72 ID:mRMggYo70


(;'A`)(はあ……びっくりした……)

 ご自分のお城におもどりになったお姫様は、どくんどくんと火山のようになる胸をおさえてあえぎました。
 手のうちににぎりしめた指環は、冬の朝のようです。
 
 お室にもどるより先に、お姫様と仲がよい、お城につかえている者とおしゃべりしようと思い、よりみちしました。

( ^ω^)「姫、裾に土がついていますお」

(;'A`)「あ、ごめんなさい。ありがとう」
 
 話のとちゅうで、ひとりのめしつかいがお姫様のお召しものの裾を軽くはらいました。
 はらうと、ひとつため息をつきました。

( ^ω^)「わたくし共に言ってくだされば全力で探しますお」

(´・ω・`)「姫はドジですからね。それとも、何か秘密でもおありですか?」

 もうひとりが同じように言いました。

 このめしつかいははっきりと物を言います。
 しかもするどいので、お姫様はごまかすこともおできにならないで、ときどきまいってしまうのです。
 もっとちゃんと土をはらっておくんだった、とお姫様は思いました。


  目次
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:06:35.01 ID:mRMggYo70


('A`)「……さっき、知らない王子に会ったのだけれど……」

 くちごもりながらも、ちいさな声でお姫様がおっしゃいました。
 二人のめしつかいは、たがいに見合い、うれしいような、ふしぎなような、ともかく奇妙なきもちになりました。

('A`)「あはは……ナルキッソスでもおかしくないような方でさ……ほんとう、水に映った自分に恋したって疑わないような……」

 ひかえめに、質素に、なかばひきつりつつもほほえみなさいました。

 お姫様は久しく、お城にいるめしつかい以外の人と、会話どころか、会うこともなさらなかったので、きんちょうしてこわばっているようです。
 物思いにふけるような顔をなさって、ぼんやりしていらっしゃいます。

(´・ω・`)「その絶世の美男子がどうしました?」

 めずらしくこのめしつかいも関心がむいたようで、お姫様には、すこしよろこんでいるように見えました。

 その表情をごらんになって、お姫様はなんとなく幸せなきもちになりました。



5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:08:25.15 ID:mRMggYo70

('A`)「ううん。そんなたいそれたことじゃないわ。ちょっと話かけてくださっただけ」

(*^ω^)「それはよかったですお! 姫は人見知りがひどいですから、心配していたんですお。
      このままじゃあ、嫁がないとか婿をとらないなんて言いだすんじゃないかとハラハラしてましたお」

 めしつかいが、自分のこどもが成長していくのを見るように、本心からよろこんで言いました。

 ところがお姫様は、そのめしつかいに眉をたれて、首をよこにゆっくりとふりなさいました。

(;^ω^)「おっ……」

('A`)「……怖くって、走って逃げちゃった」

 いかにもしょんぼりとするお姫様のお顔は、とてもとてもかなしそうでありました。

 ふたりのめしつかいは同じように眉をひそめました。
 なかなかどうして、この姫はこうなのだろう、と遠慮なんかまったくなしに思います。

('A`)「ごめんなさい。でも、今のままで充分幸せだから羨んだりしないわ。今のは気にしないで」

 そうはいってもやはり、お姫様の顔色はけっしてよくはないようでいらっしゃいました。

 見かねためしつかいのひとりが、

(´・ω・`)「姫、また同じ場所に行けば会えるかもしれませんよ」

 と言いました。


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:09:59.58 ID:mRMggYo70



( 'A`)姫と王子(゚- ゚ 川のようです



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:12:19.16 ID:mRMggYo70

(´・ω・`)『とりあえず謝れ。何、手紙? ぶちころすぞ。大丈夫。二度あることは三度ある』

 教官室の印刷機の修理は済んだらしく、機嫌も上々、軽快にはたらいている。
 今日は英語で要るプリントを忘れたので、ショボンのを借りて印刷するのに印刷機の前でぼうっとしている。

('A`)(うーむ……ショボンの字、美しすぎだろ……フォント作ろうかな……)

 借りたノートをめくりながら思う。
 外見が流麗なやつは字体も流麗なのだろうか。

 ブーンのノートを借りてもよかったのだが、見やすさからしてショボンのを借りた。
 ブーンの見た目がアレという意味ではない。決して。

 とはいえ、ブーンには彼女がいる。
 妬んでなんかいない。決して。

 例の女子学生に逢ってからまる二週が経ったが、いまだにショボンの冒頭のせりふが反芻している。
 「二度あることは三度ある」だかなんだか知らないが、そもそも「二度」会ってないのだから三度もあるわけがないのだ。

 ちょっとでも期待した俺が馬鹿だった、とドクオは思った。


8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:14:23.36 ID:mRMggYo70

('A`)(しっかしキレーな脚だったなー……プリンタ壊れたらまた会、)

 その時、ピー、と、機械音が鳴った。
 目を丸くする暇もなく、瞬時に表示パネルを見ると『GGRKS』とあった。

(;'A`)「いみわかんねー、何だよもーまたかよー」

 前とはパターンが違うけれど、壊れたことに違いはないらしい。
 しゃがみこみ、排出口をのぞいたり、ドラムを出してみたりした。

('A`)「あーマンドクセ。遅刻フラグ……っと」

 ぶつくさ言いつつショボンのノートとプリントを手にとり、これだけでも持って帰らねば、と思った。
 それ以上のことはちらっと考えるだけで悪寒がする。

 プリンタはもう買い替えどきだ。

 ともかく印刷が済んだものをがっちりと掴み、教官室をあとにしようとしたが、時間はまだ少しある。
 ドクオは、ちょっとだけプリンタの様子を見ようと戻った。

('A`)(インク切れじゃねーしなー……ドラムに紙もなし、と……えーと他にはっと……)

川 ゚ -゚)「また壊れたのか?」

('A`)「あー、そうなんスよー。もう今日は無理、だ……と……、おも――」

 ふりかえると、切望した姿があった。


9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:19:38.59 ID:mRMggYo70

川 ゚ -゚)「やあ。久しい、な」

 また、心臓がはねた。

 逃げたい。
 すぐにでも教室に帰りたい。

 冷や汗が一気にふきだした。

川 ゚ -゚)「……あの、」

 会いたかった、という気持ちと、逃げたい、という気持ちとが錯綜する。

 ただ前と違うのは、「逃げたい」理由が、女子から「逃げたい」とは雰囲気が違うことだ。

 何故逃げたいのかわからない。
 過呼吸になりそうだ。

 ああそうだ。
 言わなきゃ、言わなきゃいけないことがあった。
 何だっけ。
 そうだ、ショボンだ。

('A`)「……っ!」

 出した声が、思わず小さかったことよりも、女子学生の背丈が思ったより高かったことよりも、
 今はそうじゃなく何よりも、女子学生がびっくりするほど泣きそうな顔をしてドクオを見つめていることにびっくりした。

 ドクオは焦った。


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:21:00.59 ID:mRMggYo70

(;'A`)(何か……何か言わないと……!)

 ドクオの頭のちいさなちいさな恋愛ひきだしをあさる。
 ない。ない。何一つない。
 仕方ない。手近にある何かを――

(;'A`)「どうしてプリンタ壊れてたの知ってるんですか!?」

川;゚ -゚)「――は?」

('A`)(はやまったな、俺)

 と思ったと同時に、どこからかショボンの「違うだろカス」という声が聞こえた気がした。

 しかし気になっていた点でもあった。
 もしかしたら、ドクオを捜していたのかもしれないと思わせる発言。
 内心期待しているのも否めない。

川 ゚ -゚)「いや、前壊れたのを知ってるんだが……それが、変か?」

('A`)「いやなんでもないです」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:23:01.08 ID:mRMggYo70

 ささやかな幸せも、なんのことはない、あっさりと崩れてしまうものだ。
 万里の長城くらいの幸せはドクオにはこないのかも知れない。
 それ以前にドクオ自体にぶすぎて、一生涯崩れないほどの幸せさえも気付かないこともありうる。

 と言う間に、ドクオは苦悩していた。

(;'A`)(たすけてショボン……いやショボン様!)

 何が重要だったのか一切を忘れているのだ。
 しかし思い出す気配は一向にない。

('A`)(……二度あることは三度ある)

 ドクオはそのまま教室に帰ることを決意した。
 ショボンがそう言うのだから間違いない、と。

('A`)(ん? ショボンが言う……? 何を? ……ま、いいや)

 そうして女子学生に会釈をし、その華奢な躰の脇を通りすぎようとしたとき、

川 ゚ -゚)「今度は、おとすなよ」

 と、女子学生が皮肉まじりに笑った。
 その笑顔もまた、尋常でなく悲愴を宿していた。

(゚A`)「――ぅおおおもいだしたああああああ!!」

川;゚ -゚)「!?」


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:25:21.81 ID:mRMggYo70

 ドクオは根限り叫んだ。
 五年分の瞬発力をそれについやしたと思うほどに。

 二、三歩、女子学生からすぎていたのでターンし、今度は脚でなく、彼女全体を凝視した。

 背は高め。
 髪は長くて細く、二つに結われている。
 端整で美麗。
 ああコーヒーがよく似合いそうだ。

('A`)「すみませんでしたああああ!!」

川;゚ -゚)「!?」

 直角よりも深く、ドクオは頭を下げた。
 二人の配置がまるでヤのつく自由業の人のようだ。

('A`)「せっかくの親切を無下にしてしまい、すみませんでしたああああああ!! ありがとうございましたあああああ! それだけですうううう!!」

 咆哮するなり、さっさと教官室から出ていこうとした。

 が、

川;゚ -゚)「ま、待ってくれ!」

 女子学生がドクオの頼りなく情けない腕を掴んだ。

(゚A゚)「――!!」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:27:02.51 ID:mRMggYo70

 失神寸前しかし制服越し。
 直接触られたら、きっとドクオは死ぬだろう。
 灰は海にまいてほしい、と常々彼は言っている。

川;゚ -゚)「な、名前を教えてくれないか!? わたしはクーという!」

 一瞬ドクオは、詐欺だ、と思った。
 もうすぐ予鈴が鳴る。
 心臓の音が異常にうるさい。

(゚A゚)「ド、ドク……オ……です……」

川;゚ -゚)「ありがとう。引き止めて悪かった」

 手を離し、クーはドクオより先に教官室をあとにした。

('A`)「おお怖かった……くそ、偽名なんて思いつけるかよッ……俺の名前悪用されたらどうしよう……カーチャン……」

 クーの後ろ姿を見送り、悪寒を感じながらドクオは呟く。

 しかし、ちゃんと謝ったのだ。
 礼も言った。
 これでもうショボンが夢に出てくることはなくなるだろう。

 ふたたびショボンの顔を思いうかべ、足早に教室に帰った。


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:29:42.73 ID:mRMggYo70

(*^ω^)「おっおっおっ。ツンすごいおー」

ξ*゚⊿゚)ξ「も、もうっ、何回言えば気がすむのよっ」

('A`)「どうしたあのバカッポーは」

 放課後、いつもの三人でたらたらしていると、ツンがとびこんできた。

 ツンはブーンの彼女だ。
 最近つきあって四ヶ月になったらしい。

 いつもブーンと一緒のため、他の二人とも仲よくなってしまった。
 告白したのはツンだが、ブーンも以前から気にかけていたのを知っていたこともあり、最初こそ遠慮がちだったがすぐにうちとけた。

(´・ω・`)「ほら、ツンは華道部だろ? それで評価されて展覧会かで生けれるんだとか」

('A`)「ふーん。そういやカドウ部だっけ。……カドウ部って?」

(´・ω・`)「………」

 蔑みさえしないまなざしでショボンはドクオを一瞥した。

 浅い溜息を吐き、腕をくむ。
 その一連の流れが見惚れるほどにうつくしかった。


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:31:45.98 ID:mRMggYo70

(´・ω・`)「花」

('A`)「刺すやつか」

(´・ω・`)「きみがそこまで無知じゃなくてよかったよ」

(*^ω^)「ツンが生けた花はきれいだお。でもツンの方がもおっときれいだおー」

ξ*゚⊿゚)ξ「や、やだあ。もーバカっ」

( ゚ω゚)「ごぶッ!」

 部活といえば、ドクオとショボンは帰宅部、ブーンは陸上部に所属している。
 ブーンもまたなかなか優秀な成績の持ち主だ。

('A`)「あの、ショボン」

(´・ω・`)「ん」

 平身低頭して言ったにしてはそっけなさすぎる返事。

 だが特に腐らず続ける。


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:33:30.23 ID:mRMggYo70

('A`)「……謝ったよ、あの人に」

 わずかに沈黙。

(´・ω・`)「うん」

 そして返答。

(´・ω・`)「もうむやみに印刷室に行かなくてすむね」

('A`)「……そうだな」

 こうしてドクオが気付けるだけの変化があった日常は幕をおろし、また何の変哲もないあいまいな日常が始まる。
 ほんのわずかに抱いた期待も、自分の性質、外見、その他諸々をひっくるめて考えると、ものの見事に崩れてしまった。

 高校デビューとはよくいったものだ、とドクオは思った。

 いつまでも未練がましくいるのもみっともない。
 さっさと忘れてしまおう。

 そういえば、英語の予習をしておくのを忘れたんだった。


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:34:11.82 ID:mRMggYo70

('A`)「ショボンー。次の比較ンとこ教えてくれー」

(´・ω・`)「いいけど名前に様をつけろ。あと紅たこ奢れ」

('A`)「……Yes, sir.」

 この日常で、充分すぎる。
 ――贅沢は、禁物だ。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:36:24.72 ID:mRMggYo70
 
 それから数日経ったある日、普段は目に留まらないのだが、なぜか階段の踊り場の花台にドクオの目がいった。
 ツンが華道部だということを思い出しながら。

('A`)(へー……うまいもんだ。技術はわかんねーけど、時間がのろくなった感じがする)

 ほんとうに黒い花器に生けられている花の名前は、ドクオにはわからない。

 しかしねむるように美しいのは、誰の目にもあきらかだった。

「あ!」

(;'A`)「!?」

 飛び跳ねそうになるのをやっとこらえて見ると、女子学生二人が立っていた。

「これ、クー先輩のじゃない!?」

「え、マジ!?」

 ドクオの存在を無視してきゃいきゃいと小型犬のようだ。

('A`)(俺じゃないのか……よかった)

 安堵しつつ一歩退いて女子学生の話に耳を傾けた。

 二人とも一年生らしかった。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:38:15.14 ID:mRMggYo70

「あたしわかるよ、この花! えっと、アカメヤナギと、これはガーベラ。あとはわかんないや、ソリダコだっけ。んで、自由花」

「すごー。あんた華道部じゃないじゃん」

('A`)(すげーな)

 花の名前を言った方は自慢気に、しかし照れながら言う。

「いやさあ、クー先輩が好きだから、花とか調べちゃった」

('A`)(クー……? 誰……あ、)


川;゚ -゚)『な、名前を教えてくれないか!? わたしはクーという!』


('A`)(あの人……華道部だったのか……)

 めずらしく早く思い出せたのは、やはりまだ心残りだからだろうか。
 わからないけれど、いまだにはっきりと、彼女の姿が思い浮かぶ。

「クー先輩に話かけたことないの?」

('A`)(俺はあるぜ……!)

「あはは、無理だよ。クー先輩モテるから」

 誰に謝っているのか、申し訳なさそうに呟く。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:40:21.40 ID:mRMggYo70

 その言葉は、ドクオの耳に入り、何度も何度もくりかえし頭の中でぐるぐるとうずまいた。
 あの人がモテるなんて、百も承知二百も合点なのに。

('A`)(……俺……)

 ドクオに恋愛沙汰はいまだかつてめぐってきたことがなかった。
 いっちょまえに恋もしたことのない男だ。

 何もかもわからない。
 忘れたつもりが、毎朝学校に行くといつも彼女が頭の裏っ側にうかぶのも。
 用もないのに印刷室に長居するのも。

('A`)(クーさんが……好きなのか……?)

 と、薄々思いながら不思議なのは、彼女が夢にでてこないことだった。
 なぜかドクオは、恋をするとその相手が夢にでてきて擬似デートでもするものだと思っているのだ。

('A`)(……気のせいか)

 もう一つ、こう自分に思い込ませる理由がある。

 クーはドクオのことなど見向きもしない、ということだ。

 ドクオの勝手な見解だが、常識的に考えてクーのようなどこぞの姫かと思う風貌の持ち主が、
 ドクオのようなどこぞの百姓かと思う風貌の持ち主と釣り合うなんて、太陽が西から昇ったとしても誰が口走るだろうか。
 
 ――しかし、誰もが目を背ける恋愛事情にも、やはりそれなりの機会というものがめぐってくる。
 ただし、「互いに恋愛下手で経験値皆無」という条件下のもとで。


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:42:06.37 ID:mRMggYo70


(´・ω・`)「ねえドクオ、興味深い話を耳にしたんだけど」

 あるときショボンが、ふと思い出したように言った。

(´・ω・`)「僕はその生徒が誰だか知らないし会ってもないんだけれど、
        『二年で長髪で二つくくりの女子』が『一年で貧相な雰囲気の、ドドクオっていう名前の男子』
        を探してるらしいよ。
        でも可哀相にね、なかなか見つからないみたいなんだ。

       ドクオ、心当たりはない?」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:46:29.28 ID:mRMggYo70



***



川 ゚ -゚)「お久しぶりですね」

 お姫様は、あのめしつかいに言われてから、だれにも見られないように、例の王子様とであった場所でまったくおなじ時間にまいにち、何をすることもなくたちつくしていらっしゃいました。

 行くたびご自分のことがいやになってしまうようでしたが、それでもなぜかおみ足をお運びなさいました。
 あめが降っても、お姫様はあの場所に立っていらっしゃいました。

 何日がすぎたでしょうか、かの王子様が、ふらりとお姫様の目の前にあらわれたのです。

 まいにちいらっしゃったのに、お姫様はいざお会いなさるとどうしてよいものかわからず、ひとことおっしゃるにもろれつが回らないようです。

('A`)「ひい、お、ひさささし、」

 表情はうまくととのっているのがふしぎです。
 いままで見たこともないようなおちついた笑顔をなさっています。


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:48:13.08 ID:mRMggYo70

川;゚ -゚)「落ち着いてください」

 あらためて拝聴すると、やはりお声までもお姿とおなじようにしっとりと、安定していらっしゃいます。
 率直に、きれいだとおもいます。

('A`)「――あ、はい……ありがとうございます」

 すこしだけふかく呼吸をなさってから、お姫様はかすかに笑いました。

 お姫様は、普段あまりはたらかせない頭のぶぶんをつかっていました。
 それがどこなのか知るわけはありません。
 とにかく考えていらっしゃったのです。

 お姫様は、とてもとてもおおきな一歩をふみ出されたと思います。

 とっさに息をおおきくすいこみ、おさない頃いらいでしょうか、叫ばれました。

('A`)「あの!」

川 ゚ -゚)「?」

('A`)「あのときは、すみませんでした! ありがとう、ございました!」

 王子様は、やさしく、ゆるやかに、微笑みなさいました。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:49:41.14 ID:mRMggYo70

川 ゚ -゚)「わたしはクール・オビディエントといいます。あなたは?」

('A`)「あ、ドクオ・ウィケット……です」

川 ゚ -゚)「ありがとうございます。……それでは、今日はもう時間ですので」

 すく、と王子様はお立ちになり、お姫様にあのときとまったくおなじように御手をさしだしなさいました。
 お姫様は気兼ねなさいましたが、好意をむだにしたくなかったので、かるくそえて立ちあがりなさいました。

 はにかみながらでありました。

 王子様のおん手がほんのすこし、ふるえていたような気もします。

川 ゚ -゚)「では、また」

('A`)「は、はい」

 口にしたしゅんかん、王子様がとてもとてもつらそうなお顔をなさいましたのを、お姫様ははっきり目に映されました。

 それから、王子様はきびすをかえし、お城へかえりなさいました。

 そのせなかを、お姫様はみえなくなるまでつっ立ったまま、見つめられていました。


33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/04/18(土) 17:51:03.75 ID:mRMggYo70


(´・ω・`)「ふう、やっと来たな、あの野暮天」

(;^ω^)「ちょ、ショボン、その言い方はよくないお」

 お姫様のご様子をまいにちこそこそとみまもっていたこのふたりのめしつかいは今日の様子もまたうかがっていました。

(´・ω・`)「遅いってんだよ。うちの姫は健気に毎日待っていたんだぞ」

( ^ω^)「それはショボンが言った所為だお」

(´・ω・`)「まあともかく来たんだからよしとしよう。これからが見物だな……ふふふ」

(;^ω^)(こわいお……)

めしつかいはお姫様のことがしんぱいでしんぱいで仕方がないようです。



             つづく
面白いな
続き気になる…





  
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