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目次
2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 20:49:18.27 ID:g2dFrcks0

川 ゚ -゚)「私は考えていました」

 またある日、王子様が遠慮がちに、お姫様のところへおみ足を運ばれました。
 やってきたとき、木陰にしゃがみこんでいらっしゃったお姫様は、ぱっと笑顔になられました。

('A`)「そうですか」

 口にしたしゅんかん、お姫様は気のきかないあいづちを打ってしまった、と後悔しました。
 しかし、王子様はそんなことをひとつも意にかいしていらっしゃらないようでした。

川 ゚ -゚)「私は、あなたに謝らなければならない」

('A`)「へ」

川 ゚ -゚)「……先日は、失礼しました。無礼をお許しください」

 王子様は、お姫様のあしもとに片ひざをたてて流れるようにあたまを下げなさいました。
 とうぜんそんなことをされるのに慣れていないお姫様はひどくとまどわれ、とりあえずその場でしゃがまれました。

川;゚ -゚)「な、何をなさっているのですか?」

('A`)「あ、いえ、あなた様が何を謝っていらっしゃるのかよくわからないので……一緒にしゃがんでみたのです」

 似たような目線で、よけいお姫様はどぎまぎなさいましたが、まえよりはずっとしぜんです。
 ふわふわと、積雲のようなきもちになります。

 すると、王子様もふきだし、笑顔になりました。
 その笑顔もみごとなものでありましたので、お姫様はすこしうらやましくお思いになりました。


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 20:52:29.80 ID:g2dFrcks0

川 ゚ -゚)「ははっ、左様ですか。ははは、失礼。あなたはわたしが思っていたより素敵な方のようですね」

('A`)「え」

 ききなれない言葉に、うろたえるお姫様。
 ついうつむいてしまいました。

川 ゚ -゚)「ああ、それでもわたしはあなたに詫びなければなりません」

 お顔をうれいでいっぱいにして、王子様はお姫様をじっと見つめなさいました。
 お姫様ははずかしくて目をあわせられません。

('A`)「別に、失礼なことはしていないと思いますけれど……」

 すると、王子様は困ったようなお顔をなさり、

川 ゚ -゚)「それでは少し、失礼します」

 と言って、王子様のご内情をお話しなさいました。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 20:54:15.57 ID:g2dFrcks0


( 'A`)姫と王子(゚- ゚ 川のようです



6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 20:57:47.05 ID:g2dFrcks0

 クーは小さい頃から人助けが好きだった。
 年齢、人種、性別、宗教、それらが一体どんなものであろうと、困っているものなら手を貸し、尽力した。

 わずかでも言語が通じるとよりいいと思い、英語を必死に勉強した。
 その甲斐あってか、全国模試の順位に載るほどの実力になった。

 手助けをすると、みな笑顔で「ありがとう」と言ってくれる。
 言わなくとも、はにかんで浅く頭を下げてくれる。
 それが、クーにとっての喜びだ。

 ほんとうは、万人のためになるようなことをしたいが、及ばない。
 だから一人でも多くの人を、少しずつでもいいからできる範囲で、できることの最大限をつくそうと決めたのだ。

 だが残念にも、そのお人好しを使われていじめにあったこともある。
 しかし周りはクーのことを信頼していたし、惜しい人だと思っていたこともあり、いじめは一時のことで済んだ。

 弁当を忘れた子がいれば自分のを半分わけた。
 電車賃がなくて帰れないという子がいれば、あるだけのお金を、自分の分がなくなっても、自分は大丈夫だと言って貸した。

 おせっかいではないかと思うこともあるが、どうしても見ていられないのだ。
 自分が見て見ぬふりをするとこの人はどうなるだろうと思う。
 お昼がなくてお腹が空くだろう。
 帰れなくて親御さんが心配するだろう。
 そう思うといてもたってもいられなくなる。



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:00:38.85 ID:g2dFrcks0

 高校に入って、華道部に所属した。
 当然女子ばかりだ。
 女子には重たい花器や花題もある。
 そういうことでも、部活は充実している。

 だがそんな中、驚愕の人物がクーの前に立ちはだかった。


 ('A`)


 ドクオだ。

 今までに、大丈夫だからと手を貸すことを断られることは経験していた。
 ところが、あれほど露骨に拒否反応をおこし、クーから逃げるようにする人を見たことがなかった。

 率直に、クーは衝撃を受けた。
 ショックでしばらく何も考えられなかったほどだ。

 そういう人もいるのかと思うと、怖くなった。
 自分は今まで人に大変なことをしていたのではないか、と。
 恐ろしくて心臓がいかれそうなくらい波打っていたが、もう一度ドクオに会いたいと願った。

 その願いは意外と早く叶った。
 ドクオを確認した途端、頭がパンクしそうだった。
 しかしクー以上にドクオの頭が爆発していたので冷静さを取り戻せた。



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:03:37.30 ID:g2dFrcks0

 ますます解らなくなったのは、ドクオが叫んだ、「すみません」と「ありがとう」。

 こっちの台詞だと言いたかった。
 だが、呆気にとられていたので何を言おうか言葉を探して、焦って名前を訊いた。
 その後我に返って無性に恥ずかしくなった。
 恥ずかしくなって、そのまま逃げた。
 まるで彼のようだ、と心のなかで笑った。


ξ;゚⊿゚)ξ「きゃ!」

川 ゚ -゚)「おっと」

 部活の後輩のツンがよろけて花器を落としそうになるのを素早く支える。

ξ*゚⊿゚)ξ「ク……クー先輩! ありがとうございます!」

 考え事をしていても意外と反応できるものだと、自分に感心するクー。

川 ゚ -゚)「気をつけろよ」

ξ*゚⊿゚)ξ「は、はい!」

 慎重にゆっくり歩いていくツンの後ろ姿を見ながら、この頃捜している例の男子のことが頭に浮かんだ。
 案外見つからずに困っていたところだった。



12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:06:58.04 ID:g2dFrcks0

川 ゚ -゚)「ツン」

ξ*゚⊿゚)ξ「あ、はい! 何ですか!?」

 先を行っていたにもかかわらず、ツンは笑顔で振り返った。
 クーがツンに歩み寄る。

川 ゚ -゚)「ツンは一年だったな」

ξ*゚⊿゚)ξ「そうです!」

川 ゚ -゚)「ドドクオ、という名の男子生徒を知らないか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「へ? ドドクオ……ですか?」

 ツンの表情からして、どうやら知らないようだ。
 ツンには悟らせないように顔をしかめた。

川 ゚ -゚)「ああ知らないならいいんだ。すまない」

 そう言って、背を向けようとすると、ツンが言った。
 自信のなさそうな声だったが、はっきりときびきびした口調だった。

ξ゚⊿゚)ξ「その男子、もし貧相ならわたしの知り合いかも知れません」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:09:13.48 ID:g2dFrcks0

('A`)「………」

(´・ω・`)「ねえドクオ、ほんとうに知らない?」

川 ゚ -゚)「………」

ξ;゚⊿゚)ξ(やだこれ……三角関係? いやでもショボンはまだしもドクオに限って三角関係なんかあるあ……ねーよwwww)

 ツンはよかれと思ってクーを連れてきたのだ。
 今日はブーンの部活があるのでドクオもショボンも案の定教室にいた――まではよかった。

 ただ、クーが教室に入った瞬間、空気が変わったのは想定外だ。
 ショボンの目はわずかによどみ、ドクオの顔色はさらに悪く――いやりんごのように少し赤みを帯びていたかも知れない――なった。

川 ゚ -゚)「……ドクオ、と言うんだったな」

 クーが慎重に口を開くと、ショボンが自然に席を立ち、黙ってツンの手を掴んで教室から出ていった。
 ツンは混乱しつつも、

ξ*゚⊿゚)ξ(ブーンには悪いけどこういうの、イイ……ただしイケメンに限る。ショボンかっこいいから惚れちゃいそう)

 とひそかに思う。

 教室には、神妙な顔つきのドクオと、真剣な顔つきのクーだけが残された。



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:12:04.19 ID:g2dFrcks0

('A`)「………」

 ドクオは黙ってさっきまでショボンが座っていた椅子を引いたが、クーのほうを一瞥もしなかった。
 むしろクーを見ないようにしているふうにも見える。

川 ゚ -゚)「……ありがとう。だがちょっとで済む」

('A`)「………」

川 ゚ -゚)「君に、謝りたいんだ。それから礼も言いたい」

 開けた窓から木枯らしが吹き、過ぎさまに、クーの髪に触れた。
 きっとやわらかいのだろう、とドクオは思い、窓を見つめた。
 クーが何か言い掛けたが、そのドクオの様子を見て、しばし黙る。

 沈黙というものは、なかなかどうしてある種の愛情のようだ。
 ときにあたたかく、ときに痛い。
 ときにあからさまで、ときに見つからない。
 ときに愛しく、ときに哀しい。

 愛情をひろったのは、やはりクーだった。

川 ゚ -゚)「……ほんとうにすまない。君に迷惑をかけてしまった。それから、……ありがとう。もう触れないから……安心してくれ」

 しかし、その愛情はすぐにクーの手からこぼれた。
 クーはただ俯いただけで、それをかきあつめようとはしなかった。
 かきあつめても、元には戻らないと思ったからだ。
 「またね」どころか「さよなら」さえも口にしないで、クーは教室のたてつけの悪い戸に手をかけた。



19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:15:15.80 ID:g2dFrcks0

('A`)「……ま……」

 待ってくれ、と言いたいのに、声にならない。

 ドクオはいまにも泣きそうだった。
 クーの、満月のように、かけらなく悄然とした顔を垣間見ると、ああ自分が彼女をそんな顔にさせるのか、と思うのだ。

 唇を噛んだ。
 それから、思いきり息を吸い込む。

('A`)「く……クーさん」

川 ゚ -゚)「………」

 クーは振り返らずに、ただ動きをとめた。

('A`)「俺は……クーさんがわからない。急に、ツンと来たかと思うと……謝って、礼言って……俺、どうしたらいいかわからないんです。……クーさん、お願いです。そこに座って、は……話してください」

 ここで初めてドクオはクーに目を向けた。
 嘆願するように、ドクオの目は、卑怯とも辟易とも言えない、まどろっこしい色をしている。

 そうしていると、背を向けたまま、クーが言った。

川 ゚ -゚)「……わたしが先輩だから、気をつかっているんだろう」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:18:01.40 ID:g2dFrcks0

 整然と立ちつくすこの人が何を言ったのか、ドクオには理解が及ばなかった。
 クー自身、自分が何を言ったのかわからなかった。
 教室を出よう出ようとするのに、足が微動だにしない。
 まるでドクオの次の言葉を待っているかのようだ。

('A`)「……そんなこと、言ってないじゃないですか」

 ドクオの声はますますか細くなった。
 弱々しくクーから目を逸らす。

 そして、愛しい沈黙のあと、クーが夢のようにゆるりと振り返った。

川 ゚ -゚)「……じゃあ、ほんとうに、そこへ行っていいのか……?」

 ドクオも顔を上げ、おそるおそるクーを見た。
 その顔には、懸念していたあの表情は、なかった。

('∀`)「……えはは」

川 ゚ -゚)「……そうか」

 同じようにクーも笑って、ドクオのとなりに座った。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:20:31.81 ID:g2dFrcks0

川 ゚ -゚)「ああ、よかった」

 座った瞬間に大きく嘆息した。
 軽く目を伏せ、安堵の表情をつくる。

川 ゚ -゚)「わたしはてっきり君に嫌われているものと思っていた」

(;'A`)「な、何でですか」

 クーがそう思うのも無理はなかったし、ドクオがそう思うのも無理はなかった。
 ドクオはそんなつもりはなく、むしろ真逆の感情を抱いていた。
 一方クーは唐突に逃げられたのだ。
 これでクーがドクオを嫌悪しない方が奇怪だった。

川 ゚ -゚)「まあ、少し長くなるが聞いてくれ」

 クーはぽそぽそと、昔話をするように穏やかな顔で話しはじめた。

 幼少の頃から手を貸すのが好きなこと、ありがとうと笑顔で言ってもらうこと、また将来は世のため人のための仕事に就きたいということ。
 用意していたわけでもないのに、次々言葉があふれ出た。

 ドクオはその間、「うへえ」とか「ひゃー」などと相槌を打ちながら、ほとんど黙って聴いていた。
 実際感心していたし、尊敬する部分ばかりだ。


25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:22:47.38 ID:g2dFrcks0

('A`)「そりゃあ……確かに俺は未知の生物ですね」

川 ゚ -゚)「ん? んー……まあそうだったな。でも」

 一旦言葉を切り、やはり整いすぎた微笑をつくった。

川 ゚ -゚)「でも、お陰でこうして話すことができた。……もしわたしが手助け好きじゃなかったら、もし君が女の子と喋るのを苦手としていなかったら……どっちがどうでも話すことはまずなかった筈だ」

 目を細めて、いとおしそうにドクオをじっと見る。
 つられてドクオもクーを見つめたが、ほとんど無意識だった。

川 ゚ -゚)「……不思議だが、ドクオといると落ち着く。ほら、自然と笑顔になれるだろう?」

 そう言って、クーは笑った。

 ドクオには、それが褒め言葉なのかそうでないのかはわからない。
 それきり、クーもドクオも何も言わなくなった。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:24:45.91 ID:g2dFrcks0

 最終下校時刻は原則十八時半。そろそろ帰ってしまわないと見回りがくる。
 とは思うが、この沈黙を破るだけの勇気と術がドクオにはない。

('A`)(どうしよう……ショボン帰っちゃったかなあ……)

 ブーンの部活ももう終わっただろう。
 もしかするとショボンが先回りしてグランドまで行って話をつけたのかもしれない。

('A`)(それは困るなあ……見たいアニメがあるから早く帰って体力温存しようかと思ったのに……今いいとこなんだよなあ)

 女の子を前にそんな乏しい思考を繰り広げているドクオの沈黙に、ここにきて終止符が打たれた。
 もちろんドクオが口を開くわけがない。

川 ゚ -゚)「わたしは今考えていた」

('A`)(俺も考えてたけど、クーさんはアニメとは違うんだろうな……)

 いまだにアニメから離れない頭は、恐らく一刻も早く粉砕した方がクーのためだろう。
 そもそも女の子と教室に二人きりという状況がドクオにとって現実離れしているのだから、仕方ないといえば仕方ない。

 クーはドクオと違い、確固不抜の信念でも抱いたかのような表情をしてドクオを熟視している。
 ときたま教室の戸が微弱ながら揺れるのは気のせいだろう。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

 その声を合図としたかのように、すべてを吹き飛ばしてしまいそうな風がドクオとクーの目の前で踊った。

川 ゚ -゚)「好きだ」


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:26:20.73 ID:g2dFrcks0

('A`)「………」

 ドクオの耳に、この言葉は届いていた。
 しかし脳にはほとんど到達していなかった。
 十中八、九、反射的にどこかで淘汰されたに違いない。

('A`)(『スキダ』……? 何のこっちゃ。クーさんは電波ちゃんか?)

川 ゚ -゚)「……返事は、すぐじゃなくても介意ない。最初から……言いたかったのはこれだけだ」

 蛇足のように呟くと、クーは静かに立ち上がり、半ば駆け足で今度こそ教室を出ていった。
 クーの顔がかすかに赤らんでいたように見えたが、ドクオはあまり意に介さないようにした。


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:28:11.12 ID:g2dFrcks0

(;^ω^)(お、おかしいお……)

(´・ω・`)(確かに変だね)

ξ;゚⊿゚)ξ(昨日あんなことがあったのにいつもと変わらないなんて……どんな精神の持ち主よ!)

 今日は雨だ。
 昨日、クーがドクオに想いを伝えた教室も、今は本来の使用者で騒ついている。

('A`)「はよーっす。お、ツンもいるのか」

 顔色一つ変わっていない。

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うん。ブーンときたから」

('A`)「そか。雨だからくるくるに一層磨きがかかってんなあ」

 いつもと同じように席につき、英語のテキストを開いた。
 予習をしていないのだ。

(´・ω・`)(おかしい……動揺ナシか)


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:30:27.64 ID:g2dFrcks0

 ドクオ以外の三人は昨日、野次馬根性フル動員させて、教室の戸で聞き耳をたてていたので事情は周知だ。
 クーがドクオに告白した瞬間に全力疾走して教室を離れたため、その後どうなったか知らない。
 浮かれてにやにやしながら(*'A`*)「勝ち組wwww勝ち組wwww」などとほざいていると思っていたので昨日の「好きだ」は聞き間違いかと疑った。
 想像を絶する冷静さに、誰もが冷静さを欠いた。

('A`)「ショボーン。ここ教えてくれろー」

(;^ω^)「ビクーン」

(´・ω・`)「ん」

 英語のテキストを手に、覚束ない足取りでやってくるドクオ。
 ショボンはほとんど事務的に接したが、ブーンとツンはあからさまに避けた。

(´・ω・`)「なんだ分詞構文じゃないか。これただのingじゃないからそれ気をつけて。ありがたいコンマがついてんじゃん。あとはー、共通関係よく見て。これ複数」

('A`)「分詞構文? よくわかんね。文法書見とくわ。あとこれさ、文型バラバラじゃねえ?」

(´・ω・`)「onlyが文頭にあるだろ。否定語がきたら倒置がおこる。英語としてはonlyは否定ともとれるからね」

 今の段階の勉強に関してショボンに答えられないものは基本的にない。
 とりわけ習ったものなら確実に外さない。
 きっと学生としてあるべき学習の定着度が、ショボン程なのだろう。

('A`)「ほー、倒置かー。おけ。さんくす」

 いかにも納得した顔で自席に戻ろうと踵を返――そうとしたが、それは強固な意思によって阻まれてしまった。




38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:32:45.87 ID:g2dFrcks0

(;^ω^)「ドクオ待つお!」

 ブーンだ。
 横でツンが豆鉄砲をくらったような表情でブーンを見上げている。
 ショボンもいささか驚いているようだ。

('A`)「どうした? 俺何か借りてたっけ?」

 いつもの調子で訊ねるので、ブーンはますます焦燥した。
 自分が間違っているのかも知れないが、ここは信念を守ろうと胸をはった。

(;^ω^)「き……昨日のこと、ツンとショボンに聞いたお。ぼくは、つ、つつ、ツンと付き合うってなったとき、ドクオとショボンにすぐ言ったお。
      親友だからだお! れ、恋愛と友情とは分ける主義なのかもしれないけど、親友に――どうだったのかくらい言ってほしいお……ぼく達は、心配なんだお!」

('A`)「ブーン……」

 ドクオは素直に驚いた。
 慣れていないのももちろんあったが、そんなこと報告しても迷惑がかかると思った。
 というか、言うほどのことでもないから言わなかっのだ。
 しかし友情という言葉に少し涙ぐんでしまいそうだ。

('A`)「ありがとう、おまえら……」

(´・ω・`)「これはブーンに感謝しなきゃね」

ξ゚⊿゚)ξ「惚れなおしたわ」

(*^ω^)「ツン……」

 そうしてドクオは、ひかえめに息を吸い込んだ。


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:34:35.41 ID:g2dFrcks0

 開口一番、それだった。
 三人はまさに開いた口が塞がらなかった。

( ^ω^)「『スキダ』って」

ξ゚⊿゚)ξ「どういう」

(´・ω・`)「意味?」

 ドクオはありのまま頷く。
 三人の様子もろくに見ずに。

('A`)「そう。クーさんが帰り際に言ったんだよ。しかも返事出さなきゃ駄目らしい。意味わかる?」

( ^ω^)「真性」

 やはり三人は絶望した。
 先行きが危うい。
 幸先悪し。
 ドクオがここまでだともはや病だ。
 クーがはっきり言ってくれると、ドクオも目覚めてくれるかもと期待したのが間違いだった。

ξ゚⊿゚)ξ「クー先輩の勇気が……」

 死んではいないが、クーがうかばれない。
 不憫きわまりなかった。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:36:46.11 ID:g2dFrcks0

(´・ω・`)「ドクオ、これ」

 ショボンがノートに何かを書いた。
 それを指差してドクオを促す。

('A`)「何だ? ……『好きだ』? 俺ホモじゃねえぞ」

(´・ω・`)「しね」

('A゚)「ギッ!!」

 その返答にショボンは軽く――本人はそうしたつもりで――ドクオの爪先を踏みつけた。
 そのままショボンが続ける。

(´・ω・`)「クーさんがッ、お前のッ、ためにッ、勇気をッ、だしてッ、お前にッ、告白したんだよッ!」

(゚A゚)「ぎャアアア!」

 ショボンの言葉がところどころで強調されたように強まるのは、その度にドクオの足を踏みにじっているからだ。

(;A`)「はぁ……はぁ……何で……?」

 涙目でやっとのことで答える。

(´・ω・`)「――は? てめえのことが好きだからだろ! この鈍亀が! ふ、ざけんなッ!」

(゚A゚)「アッー!」


43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:38:17.29 ID:g2dFrcks0

 ショボンはホモだが、好きな人に真摯に想いを伝える人をここまで馬鹿にする奴を初めて見たからか、冷静だが憤慨しているようだ。
 ドクオは息絶え絶えになっているところをやっと解放された。

( ^ω^)「でもドクオ、ショボンが言っているのはほんとうだお。クーさんは、ドクオに告白したんだお」

('A`)「そんな……」

 落ち着いた顔してブーンは、怖くてショボンを止められなかったことを心から申し訳ないと思っている。
 口にしないのもその所為だ。

(;'A`)「こ……断ってくる!」

 ドクオが気が狂ったみたいに教室を出ていこうとするのを、ブーンが慌ててひき止めた。

(;^ω^)「な……何でだお! ドクオはクーさんが嫌いなのかお!?」

 引き留めるブーンを弱々しく睨みつけた。
 ブーンの力にはかなわないので抵抗といえばその程度だ。

 奥歯を噛みしめ、ドクオは言った。

('A`)「俺だって……俺だって嬉しいよ!」



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:40:36.44 ID:g2dFrcks0

 苦い、今にも子どものように泣き喚きそうな顔だった。

('A`)「――でもな! 俺なんかな、ショボンみてえにかっこよくねえし!」

(´・ω・`)「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」

(;A`)「運動もブーンみてえにそんなにできねえし!」

(*^ω^)「おっ」

(うA;)「人当たりも、ツンみてえに誰にも平等に優しくできねえ!」

ξ*゚⊿゚)ξ「ド……ドクオ……」

(;A;)「そんなのがな! あんなきれーな人と並んでいいわきゃねえんだよッ! だから……、」

( ^ω^)「でも、クーさんはドクオが好きなんだお」

(うA;)「……!」

 ドクオの顔は涙やら鼻水やらでぐしゃぐしゃだった。
 しかし、ブーンはしっかりと、ドクオの肩を掴んだ。
 ちゃんと素直になってほしい一心だった。

( ^ω^)「ドクオ、しっかりするお」

 それを聞き、ドクオは袖でぐしぐしと顔を拭い、頬をはった。
 そうして、ゆるぎない決心を抱いて教室を出て行った。

(´・ω・`)「なんだか親鳥の気分だよ」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:42:19.91 ID:g2dFrcks0

 クーのクラスはすでに聞いていた。
 学校を休んでいたらどうしようかという不安がよぎったが、余計な懸念はしないことにした。

('A`)「あ、あの、クーさん……いますか」

 小さく肩を揺らしながらクーのクラスの戸を開いた。
 近くにいた女子生徒が不審げにドクオを眺めたあと、「クー、誰かきたよー」と呼び掛けてくれた。

 ここにきて、目が赤く腫れていることを心配した。
 心配する間もなく、クーはすぐに現れた。
 まるでドクオを待っていたかのようだ。

川 ゚ -゚)「わざわざ来てくれたのか。すまないな」

 クーはやはり笑顔だ。
 穏やかにドクオに笑いかけてくれる。
 今のドクオには、これだけが頼りだった。
 きっとこれからもこれだけを頼りにするのだろう。

('A`)「あの……昨日の返事を……」

川 ゚ -゚)「……うん、言ってくれ」

 クーもそれなりに覚悟をしているようだ。
 恐らく、後にも先にも誰かに告白するのはこれきりだろう。


53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:44:28.57 ID:g2dFrcks0

 ドクオの鼓動がいやに早まる。
 なかなか切り出せない。
 しかし一瞬、心が軽くなったときだった。
 唇が、勝手に動いた。


('A`)「俺も、……クーさんが好きです。よろしく、お願いします」


 頭を、深々と下げた。
 思わず目を強く瞑る。
 多分顔面真っ赤だ。
 手がふるえていた。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

 優しい声がしてドクオが頭をあげると、そこにはとびきりの笑顔があった。

川 ゚ー゚)「――ありがとう。よろしく」

(*'∀`)「えはは」

 二人は同じようにはにかんだ。

 もうじきに予鈴が鳴るだろう。

 ドクオとクーの、互いにとって、最初で最後の春が始まった。



56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:46:15.18 ID:g2dFrcks0

***


('A`)「ごめんなさい」

 王子様がお話しおわりなさいますと、しぃんとした空気にお姫様のことさらはっきりとしたお声がひびきわたりました。

川;゚ -゚)「――は、話を聞いていましたか!?」

 一拍分くらい間をあけて、王子様のすきとおるようなお声がひびきました。

('A`)「わたしがいなければ、あなたがお気を煩わせることはなかったのです。貴重なお時間を割くこともなかったのですよ」

 さも当然のようにおっしゃるお姫様ですが、お声がわずかにふるえていらっしゃいました。
 むりに笑顔になりなさるお姿が、見るにたえないほどでありました。

('A`)「わたしは薄々思っておりました」

 王子様からお顔をそむけなさると、お姫様はほそいお声でおっしゃいました。
 同じくらいほそい指先は、ご自分のお召しものの裾をちいさくつかんでいらっしゃいます。

('A`)「――あなたは、こんな場所へ訪れるべきではない方です」

 お姫様はうつむいて、やわらかな唇をかたくむすびなさいました。

('A`)「町へ行けば、あなたの隣に相応しい方がいらっしゃる筈です。ですから、――」



58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:48:11.20 ID:g2dFrcks0

 もう、それ以上のお言葉はでてこないようでいらっしゃいました。
 王子様と目をあわせないように、ずっとお顔をそむけていらっしゃいました。

川  - )「……それは、ほんとうですか……?」

 お姫様はだまっていらっしゃいます。
 王子様も、お姫様も、まったくおなじように苦しそうな表情をなさっています。
 お姫様にいたっては、いまにも泣きくずれそうでいらっしゃいました。

川  - )「本心ですか……?」

 やはりお姫様はだまっていらっしゃいます。
 ただただ唇をかみしめていらっしゃいます。
 しかし、沈黙のあと、いきをすいこみなさいました。

('A`)「……わたしは、強欲です。どうしようもなく、わがままです。
   あなたのような方が、わたしのところへ、来るなんて、ほんとうに、お門違いも、甚だしいですよ。
   わたしは、わたしの身分に見合った境遇で、十二分なんですよ。わかって、いるんです。わかってます。
   ……なのに、それなのに、」


(;A;)「――あなたに会いたい、なんて、わがままですよね……!」


 お姫様の瞳からは、大粒のなみだがつぎつぎとあふれでていました。
 そのなみだは、だんだんとお姫様のお召しものをぬらしていました。

 止めなさることができないお姫様は、ひたすら泣きじゃくっていらっしゃいます。



60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:50:20.51 ID:g2dFrcks0

川 ゚ -゚)「……姫」

('A;)「………」

 目をこすりながら、お姫様はそむけていたお顔をやっと王子様にむけなさいました。

川 ゚ -゚)「もし会いたくないのなら、私は来ません」

川 ゚ -゚)「ですが、私はあなたに会いに来ているのです」

('A;)「………」

 まっすぐ、王子様はお姫様をみつめなさいました。

川 ゚ -゚)「あなたに、会いたいからです」

 お姫様は口をはんびらきになさったまま、王子様をみつめていらっしゃいます。
 何もおっしゃることができないでいるのです。

川 ゚ -゚)「私は、あなたが好きです」

(;'A`)「!?」

 こんどはちゃんと言葉を返しなさることができました。
 王子様は眉をたれながらもほほえんでいらっしゃいます。


61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:52:23.16 ID:g2dFrcks0

川 ゚ -゚)「冗談とお思いですか?」

(;'A`)「いえ、その、あの……」

 視線をさげなさり、もぞもぞとあいまいに口をうごかしていらっしゃいます。

 しばらくして、お姫様はすとん、と腰をおろしなさいました。
 おろすなり、お顔をまっかにしておっしゃいました。

(*;A`)「ありがとう……ございます」

 お顔を手でおおいなさっていますと、王子様はとびきりの笑顔をなさいました。

川 ゚ -゚)「私のような者と、お付き合いしてくださいますか?」

(*'∀`)「……はい」

 すこしくずれた笑顔で、お姫様はしっかりとうなずきなさいました。


64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:54:41.51 ID:g2dFrcks0

(´・ω・`)「……ククク」

(;^ω^)「(怖いお……)よ、よかったおね!」

(´・ω・`)「ククク……喉乾いたな」

(;^ω^)「(今言うことかお!?)そうかお?」

(´・ω・`)「姫もああなると可愛く見えなくもないよね」

( ^ω^)「……帰って祝う準備するお」

(´・ω・`)「たまにはいいこと言うじゃん」

( ^ω^)「……ありがとうお」

 めしつかいは幸せそうにお城へかえっていきました。

 その日は、ささやかながら、いつもよりごうかな夕食になりました。


                 (*'A`)つづく(゚- ゚*川



69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/10(日) 21:58:38.99 ID:g2dFrcks0
これで今回は終わりですー

なんというデジャヴ・・・
前もすごい支援してくれた方がいたんですが、今回は増えましたね・・・
普通なの?俺がおかしいの?
何はともあれ、支援してくださった方、ありがとうございます!
「待ってた」なんて・・・照れるぞこのやろー


とりあえず、つづきます。
本当はこの1~3までは書かないつもりでした。
本当はこの先が書きたくてしょうがない。
そういうわけですので、またまたよろしくおねがいします!





  
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