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79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:04:59.19 ID:4MzA78IqO
 
( ・∀・)『よーし着いたぞー』

从'ー'从『とーうちゃーく』

( ><)『とうたー?』

それからしばらく経ったある休日、モララーの提案で一向はドライブ来ていた。
仕事に忙しい身のはずだが、ちゃんと休みを取り、家族のために時間を取るモララーは立派な父親だと思う。

( ・∀・)『ほーらー、ご注文の海が綺麗に見える場所だよー』

从'ー'从『わ~』

(〃><)『だー』

(;,,゚Д゚)「いや、綺麗にって……」
  _
( ゚∀゚)「何だ、この2時間サスペンスドラマのクライマックスに出て来そうな場所は?」

( ^ω^)「どう見ても断崖絶壁です、本当にありがとうございました」

相変わらずどこかずれたところのある変態だが、父親としてビロードに必要な存在なのは確かなのだ。
僕らは呆れながらもそれは納得していた。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:06:53.55 ID:4MzA78IqO
  
( ・∀・)『ちょっと風が強いから風邪ひかないようにね。それと、足元にも気を付けて」

从'ー'从『は~い。ビロードちゃんはママと一緒に行きましょうね』

ビロードを抱き上げるナベちゃん。
視線が高くなり、周囲を見渡しやすくなった。

(;,,゚Д゚)「いや、マジで足元気を付けてくれよ?」
  _
(;゚∀゚)「頼むから絶対ビロードを落としてくれるなよ」

(;^ω^)「おー……」

自殺の名所とも言わんばかりの有様に、僕らは額に汗を浮かべる。
この状況では僕らがどうこう出来る間もなく、大変なことになりそうである。

( ><)っ『だ!』

从'ー'从『あれれ~?』

( ・∀・)『ん?』

そんな中、ビロードが当然前方を指差した。
その指先を追うと、そこには1つの影がある。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:08:29.04 ID:4MzA78IqO
  _
( ゚∀゚)(,,゚Д゚)( ^ω^)「何だ?」

前方、つまりは岸壁にたたずむその姿はどこか儚げで、風が吹けば落ちてしまいそうに頼りない。
場所が場所だけに冗談では済まない比喩だが、こんな場所に1人でいることを考えると、少々よろしくない
状況なのかもしれない。

(,,゚Д゚)「おい、あれ……」
  _
( ゚∀゚)「ああ、ヤベーな……」

(;^ω^)「ビロード!」

ビロードに言った所でどうしようもないのだが、僕らに出来ることはそれしかない。
あとはモララー気付いてくれればいいと願うだけだ。

( ><)っ『マッパー、だーしゃん』

( ・∀・)『パパですよー、ビロード。しかし、確かに誰かいるね』

从'ー'从『何してるのかな~?』

( ・∀・)『海を見てる……だけじゃなさそうだね。ちょっと行って来るよ』

そういうや否や、モララーは小走りで崖の方へ駆け出した。
それを追う様にナベちゃんも歩き出す。


82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:10:02.15 ID:4MzA78IqO
 
程なくして、駆け寄るモララーの気配に気付いたのか、人影がこちらの方を振り向く。

ξ  )ξ

長い特徴的な巻き毛の、遠目からも美人とわかる女性だった。
しかし、その顔に生気はなく、土気色に見えるのは寒さのせいだけだろうか。

( ・∀・)+『ああ、いや、怪しい者じゃございませんよー』

警戒の色を浮かべた女性に、モララーは両手を挙げ、害意がないことを示す。
しかし、どう見てもグリコポーズで女性の周りを走るその姿は怪しさ全開だ。

(,,゚Д゚)「いや、止まれよ」

从'ー'从『こんにちは』

( ><)『こーちはー』

ξ゚⊿゚)ξ『え、あの……こんにちは……』

そこに追い着いたナベちゃんが声を掛ける。
結果的に上手い具合に事が運んだようだ。
状況から考えると、声を掛けた女性が突発的な行動を取らないとも限らなかった。


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:12:19.03 ID:4MzA78IqO
 
从'ー'从『きれいな海ですねー』

ξ゚⊿゚)ξ「え……」

そう言って海を見下ろすナベちゃんに釣られるように、女性も海に目を落とした。
打ち寄せる波が、白い飛沫の花を咲かせる。

(〃><)『きれー』

从'ー'从『でしょ~?』

ξ゚-゚)ξ『綺麗……なんですかね……』

ナベちゃんとビロードの言葉に、海に目を落とした女性が呟くように言った。

从'ー'从『きれいですよ~』

海の青、空の青、波の白、雲の白、そして日の光。
色んなものが鮮やかに輝いているとナベちゃんは言う。


85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:14:16.31 ID:4MzA78IqO
 
ξ゚-゚)ξ『私には、どれも同じような灰色にしか見えません……』

しかし、その女性は俯いたまま、また呟くように言った。

ξ-⊿-)ξ『すみません、初対面の方に失礼しました』

つまらないことを言ってと、女性はそこでようやく顔を上げ、ナベちゃんに向けて深々とお辞儀をする。
再び上げられた顔に、ビロードの視線が向いた。

ビロードの、僕の目に映るその女性の顔には、深い悲しみを湛えた笑顔が浮かんでいた。

ξ゚-゚)ξ

( ^ω^)「──」

その瞬間、僕の時間が止まった。

わからない。

何故だかわからないけれど、僕は身じろぎ1つ出来ず、その顔をじっと見詰めていた。

( ・∀・)『時にお嬢さん、ここは少々寒い』


86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:17:06.45 ID:4MzA78IqO
 
( ・∀・)+『手すりもないし、足を踏み外すと大変だ。向こうでお話しませんか?』

軽い口調とその顔を見れば、ナンパのようにも聞こえる台詞だが、流石にモララーは状況を察しているようだ。
女性をひとまずこの場から話そうと考えたらしい。

ξ゚⊿゚)ξ『いえ、私は……』

( ><)っ『だーうー』

ξ゚⊿゚)ξ「え?」

从'ー'从『うちのビロードちゃんも、向こうでお話しましょうって』

女性のそばまで歩み寄っていたナベちゃんに抱かれたまま、ビロードが女性の服の袖を掴んでいた。
最初は固い表情をしていたが、ちっとも手を放そうとしないビロードに女性の顔は少し困ったようでは
あるが和らいでいた。

ξ゚⊿゚)ξ『……はい、すみません』
  _
( ゚∀゚)「よし、ビロード、ナイス!」

(,,゚Д゚)『これで最悪の事態は避けられそうだな』

安堵の表情を見せるギコとジョルジュ。
僕はずっとビロードの目に映る女性の顔を無言で見続けていた。


87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:19:18.27 ID:4MzA78IqO
 
ナベちゃん達4人は、崖を離れ、車のそばまで歩いて行く。
ビロードは女性の服から手を放していたが、その視線はずっと女性に向いたままだった。

( ・∀・)『じゃあ、この車の中で……』

モララーは乗って来たワゴン車を指差す。
3人家族にはいささか大き過ぎる乗り物だが、話し場所としては都合がいいかもしれない。

ξ゚⊿゚)ξ『は、はい……』

女性が車内に入るのを見届けると、ナベちゃんがモララーに向かって話しかける。

从'ー'从『あ、そうだ、パパ』

( ・∀・)『何かな、マイハニー』

从'ー'从『ちょっと温かい飲み物でも買って来てくれるかな』

( ・∀・)『オーライ、ハニー。しかし、この辺に自動販売機の類はないな』

モララーは顎に手をあて、残念そうに首を振る。
確かにこの辺りには売店の1件もない。
ここに来る前、山の上り口辺りに見かけた気はするとモララーは言う。


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2009/12/27(日) 23:55:15.33 ID:4MzA78IqO
  
从'ー'从『じゃあ、そこまで行って買って来てくれるかな?』

( ・∀・)『……えーと、それは車でかな?』

モララーの返答ににこやかに首を振るナベちゃん。
それはそうだ。
車は寒さを凌ぐ話す場所として今から使うのだから。

(;・∀・)『それは結構大変だと思うんだけど……』

从'ー'从『だめ?』

(;・∀・)+『いや、ダメじゃないよ、うん』

モララーは引きつった表情で頷く。
平素からそうだが、モララーはナベちゃんには甘過ぎるほど甘い。

( ・∀・)『よし、それじゃあ、ひとっ走り行ってこよう」

从'ー'从ノシ『がんばってね~』

( ><)ノシ『マッパー』



102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2009/12/27(日) 23:57:48.63 ID:4MzA78IqO
 
( ・∀・)ノシ『ハハハ、パパね、パパ。よーし、パパ、がんばっちゃうぞー』

そういってモララーは登って来た道に向かって走り出した。
何故か両手を挙げたまま。
ナベちゃんはそれを見届けると、抱いていたビロードを女性の隣に下ろし、自分は向かいの席に座る。

ξ゚⊿゚)ξ『あの……』

やり取りは聞こえていたのか、申し訳なさそうな顔で女性が話しかけるが、ナベちゃんは気にしないと笑顔で言う。

从'ー'从『この方が話しやすいよね?』

ξ゚⊿゚)ξ『あ……はい、すみません』
  _
( ゚∀゚)「ナベちゃんも中々やるじゃねーか」

(,,゚Д゚)「ちとモララーが気の毒過ぎるがな……」

同性の方が放しやすいだろうと踏んでナベちゃんはモララーを遠ざけたのだ。
その気遣いに女性は改めて礼を言う。


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 23:59:08.95 ID:4MzA78IqO
 
从'ー'从『よし、それじゃ自己紹介。私はワタナベだよ~。この子はビロード』

( ><)『だーうー』

ξ゚⊿゚)ξ『私はツンと申します。すみません、名乗りもせずに』

ツン。
それが女性の名前だという。

( ^ω^)(ツン……ツン……ツン……ツン……ツン……ツン……ツン……ツン──)

僕は何度もその名を反芻した。
心のどこかにその名がわずかに引っかかる。
僕の心のどこかに、その名を収める場所があるのだろうか。
  _
( ゚∀゚)「おい、ブーン? さっきから黙り込んでどうしたよ?」

(,,゚Д゚)「何だ、お前、ああいうのがタイプか?」

僕に話しかけてくる2人の声も僕には届かず、ただただツンという名前が僕の中で響き続けていた。
  _,
( ゚∀゚)「ブーン?」

ジョルジュがいぶかしげな顔をしたが、その声をツンの言葉が遮る。

抽出 ID:UymfNbNGO (42回)

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:00:46.81 ID:UymfNbNGO
 
ξ゚⊿゚)ξ『素敵なご夫婦……いえ、ご家族ですね』

ツンは傍らのビロード頭を撫でながら言う。
ビロードは大人しくされるがままだ。
眠いのかもしれないが、今は寝ないで欲しいと切に願う。

从'ー'从『でしょ~。とっても素敵な家族なんだよ~』

朗らかに笑うナベちゃんの顔とは対照的に、ツンの顔は重く沈む。

(,,゚Д゚)「大丈夫か? ナベちゃんだとひょっとして逆効果だったりしないか?」

ギコの心配を余所に、ツンは恨みがましい目を向けることもなく困ったように笑っていた。
どうやらツンの指をビロードがしっかり掴んでいるようだ。
  _
( ゚∀゚)「ナベちゃんだけじゃない、ビロードもいるんだ。きっと何とかなる」

ξ゚⊿゚)ξ『本当に素敵な家族ですね。羨ましいほどに』

从'ー'从『あなたのご家族は……』

ξ゚⊿゚)ξ『家族はいます。両親ともに元気です。……でも』

( ^ω^)「……」


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:02:18.36 ID:UymfNbNGO
 
ξ゚-゚)ξ『私の一番大切だった人はもういないんです……』

車内が重い空気に包まれる。
ツンが何かしらの理由があってここにいたのはわかっていたが、改めて言葉にされると皆、何も言えずに
黙ってしまう。

静寂の中、僕はずっとツンを見詰め続けていた。
そんな僕の気持ちを汲むかのように、ビロードもツンから目を離さない。

从'ー'从『詳しい話をお伺いしてもいいですか?』

話せば、少しは気持ちが晴れるかもしれないとナベちゃんは言う。
ナベちゃんの言葉にギコやジョルジュも頷く。
ビロードも促すかのようにツンの指を引っ張った。

ξ゚⊿゚)ξ『……良ければ、聞いて頂けますか?』

ツンは訥々と話し出す。
自分には、小さい頃から中の良い幼馴染がいたこと。
小学、中学、高校と、ずっと同じ道を歩むに連れて、お互いに惹かれあっていったこと。

幼馴染の名前は内藤ホライゾン。


111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:04:09.18 ID:UymfNbNGO
  
ξ-⊿-)ξ『本当言うと、ずっと好きだったんです』

ツンは少しはにかみながら言う。

ξ-⊿-)ξ『小さい頃からずっと。やさしいあいつが』

向こうも自分のことを好いてくれているのはわかっていたけど、自分の素直になれない性格が災いして、
随分振り回したと思うと彼女は言う。

ξ゚⊿゚)ξ『我ながらひどい女だったと思います。でも……』

ξ-⊿-)ξ『あいつは怒りもせず、やさしい笑顔で私のことをずっと見守ってくれていました』

( ^ω^)「……」

大学生になり、大学も同じになった2人はようやく素直になり始め、やがて恋人同士と呼ばれる関係になれたという。

ξ゚-゚)ξそれでもやっぱり照れくさくて、私はあいつにいろいろ無理難題を押し付けていました』

ξ゚⊿゚)ξ『それでもあいつは、やさしく笑ってくれて……」

幸せな時間だったと、ツンは言う。


114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:06:07.54 ID:UymfNbNGO
 
ξ゚-゚)ξ『でも、ようやく結ばれた私達の時間は、長くは続きませんでした』

ξ - )ξ『今から2年ほど前、あいつは亡くなりました』

ξ - )ξ『私が横断歩道を渡っている時に、居眠り運転をしていたトラックが突っ込んで来て……』

ξ - )ξ『その時あいつが、私を突き飛ばして代わりに……』

从'ー'从『……』

(,,゚Д゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

( ^ω^)「……」

一際トーンを落とし、声を震わせるツンに誰も何も言えずにいた。
訥々と、つかえながらもただ起こった事実を搾り出すように伝えるツンにの言葉に、僕の心は締め付けられるような
痛みを感じていた。

( ><)っ『うー』

ビロードが手を伸ばしツンの指を強く掴む。
ツンは一瞬、驚いた表情を見せたが、小さく、ありがとうと言って再び話し出す。


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:08:09.66 ID:UymfNbNGO
   
ξ゚⊿゚)ξ『私は幸せでした』

ξ゚ー゚)ξ『あいつがいつもそばにいてくれて、私を見守ってくれていて』

( ^ω^)「……」

そう言ったツンの顔には、先ほどまでとは違うやさしい笑みが浮かんでいた。
思い出せば自然に笑顔になるあの人がくれた想い出。
思い出に浸るその時だけが、彼女に残された最後の幸せなのかもしれない。

ξ-⊿-)ξ『でも、あいつはどうだったのでしょう?』

声のトーンを落とし、再び悲しみに沈んだ顔でツンは問い掛ける。
誰に向けたわけでもない、幾度となく繰り返した言葉を問い掛ける。

ξ゚-゚)ξ『私はあいつを振り回してばかりでした』

( ^ω^)「……」

ξ゚-゚)ξ『あいつがくれるやさしさが嬉しくて、でも素直になれなくて』

( ^ω^)「……」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:10:08.70 ID:UymfNbNGO
 
ξ゚-゚)ξ『そんな私といて、あいつは楽しかったのでしょうか?』

( ^ω^)「……」

ξ - )ξ『あいつは幸せだったのでしょうか?』

( ^ω^)「……」

訴えかけるような目で、ナベちゃんの方へ視線を向けるツン。
その問い掛けに、頷いてあげることは簡単だ。
でも、それは彼女の心にどれだけ救いを与えてあげられるだろうか?

ナベちゃんがツンに向けたやさしい言葉は全く耳に入らず、僕はただビロードの視線に映るツンの横顔だけを眺め続けていた。

(,,゚Д゚)「覚悟はしてたが重いな話だな……」
  _
( ゚∀゚)「ああ……」

( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「でも、ツンも内藤ってやつも幸せだったんじゃないかな?」

(,,゚Д゚)「だな。愛する人のために死ねたら、男は本望だろう」


119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:12:45.03 ID:UymfNbNGO
  _
( ゚∀゚)「お前はどう思う……って、ブーン?」

( ^ω^)「……」
  _
(;゚∀゚)「お前、さっきからどうしたんだよ? どこか具合でも悪いのか?」

何も言わず、ただツンだけを見続ける僕に、ジョルジュが心配そうに声を掛ける。

( ^ω^)「……わからないお」

(,,゚Д゚)「あ?」

( ;ω;)「わからないんだお!」

僕には何もわからない。
でも、何もわからないはずの僕の目からは、止め処なく涙が溢れる。

(,,゚Д゚)「お前……」

( ;ω;)「僕にはわからないお! わからないんだお! でも……」

ξ - )ξ

( ;ω;)「わからないけど、あの子の悲しそうな顔を見てると、涙が止まらないんだお!

気付けは僕は叫んでいた。
叫んでも、僕の言葉はツンに届かないと言うのに。


120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:15:12.80 ID:UymfNbNGO
  _
(;゚∀゚)「お前、ひょっとして……」

(;,,゚Д゚)「2年前って事は……」

( ;ω;)「わからないお! でも、わからないけどあの子が悲しいと僕も悲しいんだお!」

僕は涙でにじむツンの姿から目を離さずにまた叫んでいた。

僕は幸せを伝えたはずだった。
笑顔で、別れを告げたはずだった。

だのに何故、ツンはこんなにも悲しい顔をしているのだろう?

心が張り裂けそうなほど苦しいのに、僕は目を逸らせずにいた。

从'ー'从『ちょっとごめんね』

ツンに言葉を掛け終えたナベちゃんが不意に立ち上がった。
どうやらモララーが戻って来たらしい。

( ・∀・(|窓

窓に貼り付いて中の様子を伺っている。

ナベちゃんはためらうことなくモララーの貼り付いたドアを勢いよく開けた。


123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:17:18.35 ID:UymfNbNGO
  
(;・∀・)『ちょ、ハニー、いきなりだね』

从'ー'从『いいから、ちょっとこっちに来てね~』

しばらく1人にしてあげた方がいいと判断したのか、ナベちゃんはモララーを引きずって車から離れていく。
後に残されたのはツンとビロード、そして僕らだ。

( ><)『だーうー』

ξ゚⊿゚)ξ『ごめんね、折角家族で楽しんでるとことに邪魔しちゃって』

寂しげな表情を浮かべながらも、ツンはビロードの頭をやさしく撫でる。

ξ゚⊿゚)ξ『今日はドライブだったのかな? この辺は何もないところなのにね……』
  _
( ゚∀゚)「確かに何もないとこだったが、今日ばかりはモララーのアホのファインプレーだったな」

(,,゚Д゚)「ああ」

( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「おい、ブーン! お前、ツンの事、何か思い出せないのか?」


125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:19:06.20 ID:UymfNbNGO
 
( ^ω^)「……わからないお」

単なる偶然なのかもしれない。
もっと別の何かなのかもしれない。

たまたま生前の僕が、ツンを知っていただけの可能性もある。
ただの知り合いで、僕の一方的な気持ちだけの可能性だってある。

僕がツンの言う、内藤ホライゾンだったことを証明するものは何もない。

( ><)『ぶー』

ξ゚⊿゚)ξ『え……?』

ビロードの言葉に、ツンはハッとした表情を見せた。
そのままビロードの顔を凝視する。

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)

まっすぐにビロードを見る彼女の瞳を、僕はまっすぐに見詰め返した。


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:23:17.60 ID:UymfNbNGO
 
ヾ(〃><)ノシ『ぶーぶー』

ξ゚⊿゚)ξ『あ……』

再び漏れたビロードの言葉に、ツンは驚いたような顔を見せ、すぐに笑い出していた。

ξ゚ー゚)ξ『ああ、びっくりした。そっか、そうだよね。“ぶーぶー”か』

ヾ(〃><)ノシ『ぶーぶー』

ビロードが両手で座席をバンバンと叩く。
ぶーぶーと、嬉しそうにはしゃぎながら。

ξ゚⊿゚)ξ『車の事ね、ホントびっくりした』

ツンがビロードの頭を撫でながらおかしそうに言う。

ξ゚⊿゚)ξ『何でビロード君があいつのあだ名を知ってるのかと思っちゃって』

( ^ω^)

(〃><)『ぶーぶー?』

ξ゚⊿゚)ξ『ううん、あいつのあだ名はね、ブーンっていったの』


129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:25:23.94 ID:UymfNbNGO
 
(,,゚Д゚)「!」
  _
( ゚∀゚)「!」

( ^ω^)

ξ゚ー゚)ξ『子供の頃、いっつもブーン、ブーンって言って走り回ってたのよ』

(〃><)『ぶーんぶーん』

ξ゚ー゚)ξ『そう、だからブーンって呼ばれてたのよ』
  _
(;゚∀゚)「お、おい……」

(;,,゚Д゚)「やっぱりお前……」

( ^ω^)「僕は……」

僕はブーン。
全てなくした記憶の中から、1つだけ返してもらった名前。
それは僕の子供の頃のあだ名だったものだとドクオは言った。

ないはずの記憶に残る泣き顔と、目の前のツンの顔が重なる。
僕は……


131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/28(月) 00:27:31.10 ID:UymfNbNGO
  _
(;゚∀゚)(;,,゚Д゚)「ブーン!」

彼女が言うブーン、それは内藤ホライゾンという名の彼女の幼馴染。
彼女の大切な人で、2年間に亡くなった人。

( ^ω^)「僕が……」

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)「……だとしても、何の意味があるんだお?」

(,,゚Д゚)「!」
  _
( ゚∀゚)「!」

僕が内藤ホライゾンだったとして、ツンの想い人だったとして、今更何の意味がある?
僕はもう死んだのだ。
僕には、どうすることも出来ない。

僕にはもう、彼女に何も伝えることは出来ないのだ。

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