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3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 20:57:25.99 ID:4MzA78IqO

深く、暗い底へ沈んでいく感覚。
生まれて初めて味わうこの感覚が、死というものだと何故か僕は理解出来た。


(  )


かすむ視界に駆け寄る誰かの姿が見える。

良かった、無事だったらしい。
これでもう、何も悔いはない。


僕は最後の力を振り絞り、彼女に笑ってみせた。


( ^ω^)


僕の全てが闇に落ちる直前に見たものは、涙に溢れた彼女の顔だった。


ξ;⊿;)ξ



 - ( ^ω^)ブーンは幸せを伝えたいようです -

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 20:59:09.69 ID:4MzA78IqO

『……ード……』

次に知覚したのは、誰かを呼ぶやさしい声だった。

あれからどのくらいの時間がったのかわからない。

ほんの一瞬のようで、随分と長い間眠っていた気がする。

眠っていた?

僕は何で眠っていたのだろうと、考えようとしたが頭がひどく痛んだので止めた。
ただ1つわかったのは、僕は死んだという事だ。

だったら何故、誰かの声が聞こえてくるのだろうか。

『…ロー…ちゃん……』

死んだはずの僕が向かうのは天国だろうか。
それとも地獄なのだろうか。

でも、このやさしげな声を聞く限りでは、地獄ではない気がする。
やさしげな声が向く先は僕なのだから。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:00:56.88 ID:4MzA78IqO

从'ー'从『ビロードちゃん、眠ってますかー』

( ><)『あーうー……』

ビロード、それが僕の名前らしい。
という事は、この優しそうな美人が僕のお母さんなのか。

从'ー'从

(*^ω^)「これは中々の……」

('A`)「残念ながら違いますね」

(;^ω^)「お!?」

突如として中空に現れた貧相な男。
男といっても小さく、お母さんの顔よりも小さいだろう。
僕とお母さんの間に、貧相な男は浮かんでいる。



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:02:49.52 ID:4MzA78IqO
 
('A`)「貧相貧相言い過ぎですよ」

( ^ω^)「お?」

どうやら声に出していたのか、貧相な男は僕の言葉を気だるそうな口調で遮る。
貧相な男は全体的に覇気というかやる気が感じられず、アンニュイな空気を醸し出している。

('A`)「だから貧相は止めてくださいと。しかし、アンニュイ等と難しい言葉をご存知ですね」

再び僕の言葉尻を拾う貧相な男。
しかし僕は今の言葉を口にした覚えはない。

(;^ω^)「ひょっとしてエスパー?」

('A`)「そういうのとは違いますが。ひとまず自己紹介を」

('A`)「私の名前はドクオです。以後、ご見知りおきを」

そう言って貧相な男は中空で恭しくお辞儀をした。
なるほど、見た目は貧相だが、服装は黒スーツとフォーマルだ。
それすらも凌駕する貧相さで先ほどは気付かなかったが、紳士的な男らしい。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:04:19.36 ID:4MzA78IqO
  
('A`)「いや、筒抜けなんですからもう少しオブラートに包みましょうよ?」

( ^ω^)「筒抜けなら今更オブラートに包んでも仕方ないお」

('A`)「それは確かに。貴方は中々聡明な方ですね、えーっと……」

向こうが自己紹介をしたのだから今度はこちらの番だろう。
僕は……

( ^ω^)「ビロード……? いや……」

違う。
それは僕の名前ではない。
よくわからないが、心の中の何かがそれは違うと叫んでいる。

('A`)「……ええ、その通りです」

ドクオが変わらぬ口調で僕の考えを肯定する。
しゃべらなくても伝わるのは便利だが、少々薄気味悪くも感じる。

('A`)「そうお思いなら極力会話で進行しましょうか」

( ^ω^)「頼むお」


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:06:11.59 ID:4MzA78IqO
 
('A`)「そうですね……元の名前では差し障りが出て来ますから……」

元の名前?
確かにドクオはそう言った。

やはり思った通り僕はビロードではない。
なぜなら僕は……

( ^ω^)「僕は死んだはずだお」

('A`)「そこを理解しておられるなら話は早いですね、ブーンさん」

( ^ω^)「ブーン?」

それが僕の名前なのか。

('A`)「そうですね。貴方の、子供の頃のあだ名らしいですね」

( ^ω^)「そうかお……」

僕は深々と頷き、その名を頭の中で反芻してみる。
何かを思い出しそうで、思い出そうとすると頭痛に遮られる。
僕の記憶は靄に包まれたまま、微塵も染み出してくることはなかった。


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:09:00.82 ID:4MzA78IqO

('A`)「ご理解通り、貴方は死んでいます。ですから、記憶は既に失われております」

( ^ω^)「そうかお……」

正確には、自分に繋がる記憶だけで、一般常識など関係ない記憶は残してあるという。
随分と都合のいい話だが、ドクオにはそれが出来る力があるという。
つまりドクオは……

('A`)「あなた方の概念で言う所の神の使い、要するに天使ですね」

( ^ω^)「……」

('A`)「何ですか、その納得がいかねーという顔は?」

ドクオは不服そうな目で僕を見る。
主にその貧相な見た目の所為で信じられないだけだが、この状況を考えると信じざるを得ないだろう。

しかし……

( ^ω^)「どういうことだお?」


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:11:49.74 ID:4MzA78IqO
 
今の状況をドクオが作り出したとしたら、これはどういうことなのだろうか。
僕はビロードではないという。
しかし、僕の目には僕を愛しそうに見詰める母の顔が見える。

('A`)「そうですね。貴方は簡単に言えばビロード君の中にいます」

( ^ω^)「ビロードの中……?」

ビロード、あの母親のやさしげな視線が向けられる先にいる人。
恐らくあの母親の子供。

ビロードの中、と言われると抽象的だが、普通に考えれば物理的にという意味ではないだろう。
僕は死んだのだ。
肉体はもうないはずだ。

だとしたら僕に残されたものは……

( ^ω^)「僕の魂がビロードの中に意識としてあるということかお」

('A`)「ご名答。やはり貴方は話が早くて助かる。他の方とは大違いだ」

( ^ω^)「他の方って、僕の他にもこんな風に誰かの中に入ったやつがいるのかお?」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:13:24.43 ID:4MzA78IqO
  
('A`)「ええ、稀にですが、よくあります」

(;^ω^)「どっちだお?」

ハハハと乾いた笑いではぐらかすドクオを睨み付けるが、全く動じない。

僕は諦めて話を進める。
他のケースなどはどうでもいいのだ。
今知りたいのは僕の事だ。

( ^ω^)「それで、僕は何でこうなったのかお?」

先の話しぶりからすると、死んだ人間が全て誰かの中に入るという事はなさそうだ。
であるならば何故、僕はビロードの中に入ったのか。

('A`)「それは話せば長くなるのですが……」


( ^ω^)「……頼むお」

('A`)「……」

( ^ω^)「……」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:16:50.97 ID:4MzA78IqO
   
僕がじっとドクオを見詰めると、ドクオは軽く息を吐き、そうですか、と呟き、大きく頷いた。

('A`)「では、話しましょう」

( ^ω^)「……」

('A`)「実は……」

( ^ω^)「……」

('A`)「貴方の魂を天国に連れて行く途中でうっかり落としてしまいまして」

( ^ω^)「……は?」

('A`)「それで偶然ビロード君の中に入ってしまったわけですね」

('A`)「いやー、まいったまいった」

(;^ω^)「……ちょっと待て」

('A`)「なんでしょう?」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:19:47.98 ID:4MzA78IqO

(#^ω^)「なんでしょう? じゃねーお! つまりこうなってるのは全部お前の所為かお!」

('A`)「端的に言えばそうなりますね」

表情一つ変えず、何事もなかったかのように言うドクオ。
さも重要な事ように、言い辛そうな話をするかと思えば、全部こいつの所為じゃねーか。

('A`)「マア、あれですな。天使も空から落ちる」

(#゚ω゚)「いっそ堕天してしまえ」

悪態を吐くもやはりドクオは動じず、カエルの面に水とはこういう事を指すのだろうか。
全く、潰れたカエルのような面しやがって。

('A`)「貴方って意外と容赦ないですよね……」

( ^ω^)「それで、どうすればいいんだお?」

('A`)「どうすれば、と仰ると?」

( ^ω^)「決まってるお? ここを出て、天国に行く方法だお」

僕の言葉にドクオはきょとんとした顔を見せた。
初めて大きく変わったドクオの表情に驚いたが、それよりも早く、ドクオはさもおかしそうに笑い出した。


22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:21:24.00 ID:4MzA78IqO
 
( ^ω^)「何がおかしいんだお?」

('A`)「失礼。貴方があまりにも素晴らしい人なのでつい」

( ^ω^)「素晴らしい?」

('A`)「いえ、この状況を簡単に手放すとは思ってもいませんでしたので」

( ^ω^)「この状況?」

ドクオは僕の言葉に意味ありげに後ろを振り向く。
そこにあるのは穏やかな母の微笑み。

( ^ω^)「……あれはビロードのお母さんだお。僕が邪魔していいものではないお」

( ><)『あーうー……』

僕の声に呼応するように、ビロードが何事かをうめく。

从'ー'从『あらあら、ビロードちゃんどうしたの?』

( ><)『うー……』


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:23:03.15 ID:4MzA78IqO
  
从'ー'从『ひょっとしておなかすいたのかなー? ちょっと待っててねー』

不意にほんのわずか身体が浮き上がるような感覚に襲われた。
それがビロードのお母さんに抱き上げられたのだとすぐに気付いたが、どうやらビロードが感じた身体の感覚も少しだけ
共有できるらしい。

( ><)『うー……』

从'ー'从『はいはい、ビロードちゃんは元気だねー』

ビロードのお母さんはやさしくビロードをあやす。
柔らかな手の感覚が、魂だけのはずの僕の心を暖かく包んだ。

( ^ω^)「……てか、この状況って」

('A`)「ええ、そういう状況ですよ」

僕の言葉に気持ち悪い顔をさらに気持ち悪く歪めたドクオが答える。

ビロードは赤ちゃんである。
ビロードはお腹がすいている。
お腹が空いているビロードお母さんが抱き上げた。

さて、これから連想される状況は何であろうか。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:25:18.28 ID:4MzA78IqO
 
そう、答えは1つだ。

(*^ω^)「……もうしばらくこの状況もいいかもしれんね」

('A`)「そうでしょうとも」

いやらしく笑うドクオ。

('A`)「いや、普通に笑ってるだけなんですが……」

僕はそのキモい笑い顔に違和感を覚えた。

僕にはドクオの意図が掴めない。

先の話を聞く限りでは、僕は意図してこうなったわけではない。
要するに不測の事態だ。
早いとこ事態を収拾してしまうのがこいつのやるべき事なのではないだろうか?

( ^ω^)「……」

('A`)「……」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:27:10.01 ID:4MzA78IqO
  
僕の考えを読んでるはずのドクオは何も答えない。
それが意味するのは何であろうか?

ひょっとしたら出る手段がないのかもしれない。

( ^ω^)「ここを出る手段はあるのかお?」

('A`)「ありますよ」

あっさりと肯定するドクオ。
僕は拍子抜けした気持ちを押し止め、具体的な手段を問う。

('A`)「私が強制的に出すことも出来ますし、貴方の意思でもそれは可能です」

( ^ω^)「何ですぐやらなかったんだお?」

('A`)「こちらの不手際ですしね。貴方の意思も尊重しようかと」

どこまでが本当かわからない答えを返すドクオを、僕はまた軽く睨みつけた。
どうにも食えない男だ。信用していいものか。

( ^ω^)「そんなの、僕が何か言う前にさっさと天国に送ればよかったんじゃないかお?」

('A`)「そういうスマートでないやり方は好まないのですよ」

天使自ら手を下すのはよろしくないので、自主的に果たして欲しいとドクオは言う。


27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:29:05.91 ID:4MzA78IqO
 
( ^ω^)「随分勝手な言い草だおね」

とはいえ、こちらの考えも見透かされる状況では、信用するもしないもあったものではないが。

( ^ω^)「それで、僕の意思で出る方法は?」

('A`)「その前に1つ話しておく事が」

( ^ω^)「何だお?」

('A`)「基本的に貴方はビロード君の行動に干渉出来ません」

('A`)「当然、外部に働きかける事も」

( ^ω^)「それを聞いて安心したお」

僕の答えに再びいやらしい笑みを浮かべるドクオ。
記憶はないとはいえ、色々と考える事の出来る僕は恐らくそれなりに歳を経た人間だろう。

干渉出来てしまえば、きっと色々と余計な事をしてしまう。
良くも悪くも、ビロードの人生を変えてしまうのだ。
ならばいっそ、何も出来ない方がいいのかもしれない。


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:31:04.05 ID:4MzA78IqO
   
('A`)「貴方は本当に素晴らしい方だ」

( ^ω^)「うるせーお」

素晴らしかろうが何だろうが、死んでしまった僕には何の意味もないのだ。

('A`)「……それで、先の話ですが1つだけ例外があります」

( ^ω^)「例外? 何だお?」

('A`)「貴方は一言だけ、ビロード君の口を借りて外に言葉を発する事が出来ます」

( ^ω^)「……」

('A`)「ですが、その後間もなく消えてしまいます」

消えると言っても天国に還るだけだとドクオは言う。

( ^ω^)「一言かお……」

一言だけ、言葉を発する事が出来る。
それはすなわち、外の誰かに自分の存在を伝える事が出来るということだ。

しかし……


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:33:11.97 ID:4MzA78IqO
 
( ^ω^)「意味ねえお……」

そう、記憶のない僕には何の意味もない事だ。
伝えられた所で、伝える相手も伝えたい事も思い付かないのだから。

('A`)「あ、失礼。正確には一言でなく一語です」

(;^ω^)「一語!?」

( ^ω^)「それは“あ”とか“い”とかそういう……」

('A`)「ええ、そういうのです」

(;^ω^)「ますます意味ねえ!!!」

慣習的なものですのでと、すげなくドクオは答える。

一言で何を伝えろと言うのだろうか。
母親の注意を惹くくらいは出来るが……。
と、そこまで考えてそれが最良の使い方かもしれないと思い当たった。

('A`)「確かにそうかもしれませんね。一度くらいは助けられるかもしれません」

( ^ω^)「……」

無言で頷く僕に、ドクオは感慨深げに頷き、言葉を続ける。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:36:07.31 ID:4MzA78IqO
  
('A`)「そんな素晴らしい貴方に特別大サービスです」

('A`)「10秒間。その間ならずっと同じ言葉を発せられるようにしてあげましょう」

( ^ω^)「ありがとだお」

意味ねえとまた突っこみそうになったが、10秒間でも同じ言葉でも、その方がより注意を惹ける可能性は高まると思い、
素直に礼を述べた。

从'ー'从『ちょっと待ってねー』

( ><)『あーうー……』

(*^ω^)「……ま、まあ、とにかく、しばらく考えさせてもらうお」

('A`)「わかりました。しばらくしたらまた来ます」

ドクオはあっさりと去る旨を告げ、最初と同じように恭しくお辞儀をした。
様子は見ているので、何かあればご気兼ねなくどうぞと。
その姿がうっすらと消えてゆく間際、最後にとんでもない言葉を残して。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:38:12.91 ID:4MzA78IqO
 
('A`)「あ、まだわからない事があったら、まずは先輩達に聞いてくださいね」

( ^ω^)「は……?」

先輩?
先輩といえば先輩。
自分より先に生まれた人。

この場合に先輩といえば……。

('A`)「それではまた」

(;゚ω゚)「ちょっと待てぇぇぇぇ!!!」

僕の叫びも虚しく、ドクオの姿は中空に消えた。
後に残るのはビロードのお母さんのやさしい笑顔と、その手に握られた哺乳瓶。

( ^ω^)「……哺乳瓶?」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:41:19.04 ID:4MzA78IqO

(,,゚Д゚)「残念だったな」

僕の問いに答えるようにいかつい声が響く。
  _
( ゚∀゚)「ナベちゃんはお乳の出が悪くってな。普段は哺乳瓶がデフォだ」

さらに詳しい答えを、軽めの声が続ける。
ビロードの視界から見える哺乳瓶とは別に、自分のすぐ隣に誰かがいるのがわかる。
そちらを振り向こうにも、どうすればいいのかわからなかったが、意識を向けるだけで隣にいる顔が判別出来た。

(;^ω^)「えーっと、どちら様で……」

(,,゚Д゚)「ドクオから話を聞いただろ?」
 
いかつい顔のおっさんが野太い声で言う。
  _
( ゚∀゚)「先輩だよ、先輩。ここのな」

チャラチャラした感じの兄ちゃんが、軽い声で言う。

(;^ω^)「話……先輩……」

確かに聞いた。
ついさっきの事だ。
忘れるはずはない。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:44:09.43 ID:4MzA78IqO

しかし……

(;^ω^)「2人もいるとは聞いてないお」

そういえば“先輩達”とドクオは言っていた気がする。
ひょっとしてまだいるのかと聞いてみたが、どうやらここにいるのはこの3人だけらしい。
  _
( ゚∀゚)「そういうわけだ。理解したか?」

(;^ω^)「一応は。理解はしましたが納得はいかないという感じですお」

死んだはずの自分が赤ん坊の中にいるのでさえ、受け入れがたい事実なのに、同じ境遇の人間が3人もとなると、
流石にいろいろと納得いかない部分がある。

(;^ω^)「どんだけあのドクオはバカなんだお……」

ぼやく僕をいかつい顔をした方がなだめてくる。

(,,゚Д゚)「まあ、そう言うな。……しかしお前、変な喋り方だな」

方言か? とギコは聞くが、記憶のない僕には答えようがない。
たぶん口癖のようなものだろうと言うしかなかった。


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:47:11.96 ID:4MzA78IqO
  
( ^ω^)「そんなに変かお?」

(,,゚Д゚)「まあ、変だな」
  _
( ゚∀゚)「変だ」

(;^ω^)「おー……」

わかりやすくていいじゃないかとジョルジュは笑いながら慰めてくれたが、まあ、この状況でそんな些細なことを気にしても
しょうがないと思うので気にしないことにした。

(,,゚Д゚)「どうせ死んだ身の上なんだ」
  _
( ゚∀゚)「ただ生まれ変わるより面白いだろ?」

面白がっていいものか悩む所だが、視界いっぱいに広がる哺乳瓶の向こうにある笑顔を思い出すと、確かにもう少し
見ていたいという気にはなる。

(;^ω^)「ですけど、僕達はこのビロード君には……」

(,,゚Д゚)「ああ、さっきのお前とドクオの話は俺達も聞いていた」
  _
( ゚∀゚)「安心しろ、俺達も同じ気持ちだ」

( ^ω^)「そうですかお」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:50:04.75 ID:4MzA78IqO
 
どうやら見た目よりは2人とも常識人のようだ。
僕は胸を撫で下ろし、視界に広がる哺乳瓶に目を向ける。
温かいミルクが流し込まれ、心なしか身体全体が暖かい気持ちに包まれる。
  _
( ゚∀゚)「ビロードも喜んでるな」

( ^ω^)「お?」
  _
( ゚∀゚)「お前にもわかるだろ? 何となく、暖かいこの感じ」

先ほど抱き上げられた時と同じように、ビロードが感じていることの一部は僕達にも伝わるらしい。
確かにこの暖かさは、ビロードが喜んでいるのだろう。

从'ー'从『ビロードちゃん、おいしい?』

( ><)ゴクゴク

从^ー^从『ウフフ、幸せだねー』

( ^ω^)「……」

だとしたら、僕がここにいる必要はないではなかろうか。
ビロードは幸せなのだ。
母の愛を一身に受け、やさしさに包まれて。

少なくとも、3人もここにいる必要はないだろう。

( ^ω^)「……」


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/12/27(日) 21:53:02.87 ID:4MzA78IqO
  
( ^ω^)「……お?」

不意に、暖かみが薄れ、ざわついた感覚に包まれた。
全体が紫がかったような、何とも言い難い、息苦しい感じがする。
  _
(;゚∀゚)「ヤベえ!? エマージェンシーだ!」

(;,,゚Д゚)「ナベちゃん、またやりやがったか?」

急に慌て出す2人。
何事かはわからないが、どうもただならぬ事態が起こったようなのは察しが付く。

(;^ω^)「あの、いったい何が……」
  _
(;゚∀゚)「もう無理だって! これ以上飲めないから!」

(;,,゚Д゚)「哺乳瓶外してあげてー!」

(;^ω^)「ああ……」

2人の言葉で何が起こっているか僕はようやく理解した。
どうやらあのお母さん、2人がいうにはナベちゃんはビロードの飲める限界以上を飲ませようとしているらしい。
見た感じ、若いお母さんなので子育てにはまだ不慣れなのだろう。

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