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目次
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:24:57.51 ID:vES3L147O


 走る。
 息が切れる。
 足がもつれる。

(;’e’)「……!」

 それでも男は足を止めることをしなかった。
 暗闇の路地裏を必死の形相で駆ける。
 それは誰か逃げるようだった。

 否。

 男は逃げていた。

(   )「――…………」

 得体の知れない何かから。
 それは男の後ろをぴったりと付いてくる。
 時折聞こえる荒い呼吸音は、まるで獣のようだった。

 男は振り向きもせず、ただひたすらに逃げ続けた。
 しかし。

(;’e’)「――!」

 行き止まり。
 高いビルに囲まれてしまった。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:26:33.60 ID:vES3L147O


 目の前の壁はとても登れる高さではなかった。
 男に絶望が過る。
 だが、それでも壁に爪を立て必死に登ろうとする。
 何故なら、それはもうすぐ傍まで来ていたから。

 その時、男は不意に今まで感じていた気配が止まったのを感じた。

(;’e’)「――」

 思わず振り返ったそこには、


( q,,p)


 自分の顔めがけ飛び掛かる、見たこともない化け物の口。
 何か感じることも悲鳴もなく。
 それが男が最後に見たものとなった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:27:47.00 ID:vES3L147O

 “それ”は腹が減っていた。
 何故かはわからない。
 ひたすらに空腹で、ただただ渇いていた。
 幸いな事に、ここにはたくさんのモノが溢れているようだ。
 その温かく旨そうなモノを貪れば、この飢えはきっと癒される。
 考える必要など無かった。

 ―――ああ、モノはなんと温かい。


 “それ”はふと、赤く滴る顔を目の前のモノからを上げた。
いつのまにか、そこには新たなモノが立っていた。

(===)「……」

 白く細長い布を体中に巻き付けたモノは“それ”を見ている。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:30:15.75 ID:vES3L147O

 “それ”はまた激しい飢えが訪れるのを感じた。

 苦しくて辛い。

 また考える必要など無く。
 さっきと同じように身を屈め、跳ぶ準備をした。

(===)「………す」

 モノが呟いた。
 その時“それ”は気付いた。


(===)「……お前らは全て!! 殺す!!!」


 目の前にいるモノが、先程のモノと気配が全く違うことに。


(===)「――――!!!」


 目の前のモノが姿を変える。
 “それ”は初めて、飢え以上の何か感じた。

 逃げろ。

 迷わず真上へ跳び、一瞬で地上を見下ろす。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:31:39.82 ID:vES3L147O

 だがそれよりも高く。
 闇と、それに浮かんだ白く丸い光を背に。
 何かが、手に掲げた武器を振り下ろした。

 肩から股まで寸断し、切り返しの連続で足を、腰を、腕を、肩を、胸を、首を砕く。
 残された“それ”の頭部が最後に見たものは。


( ЯмR)


 闇色をした獣の化け物だった。





 夜のビル街に響く、一つの音。
 それは黒い鎧を身に纏った、

( ЯмR)「――――!!!」

 人ならざる者の慟哭だった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:34:03.53 ID:vES3L147O






      第一部  学園の覚醒者








10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:35:34.67 ID:vES3L147O
 薄暗い空間に鳴る、けたたましい電子音。
 音源は、銀色の丸い時計だ。
 そこに伸びる一本の手。

 手は時計の上部を手の平で押すと元の位置、ベッドの上に戻っていく。
ベッドの上には一人の少女が眠っていた。
彼女は艶やかな黒の長髪をベッドに散らし、
黄緑の半袖パジャマは胸元がだらしなく空いていた。

 ここは少女の寝室だ。
 閉められたカーテンの隙間から、光が差し込んでいる。
机に置いてある教科書とノートには、持ち主の名前が書いてある。

 ペニサス・イトウと。

 きっちり一分経ったところで時計が再び鳴りだした。
少女の形の良い眉根が詰められる。
 またもや手が伸び、今度は上部では無く時計の裏面にあるスイッチをオフにした。

 彼女が安らかに寝息を立て始めた時、また音が響いた。
 誰かの足音だ。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:36:39.67 ID:vES3L147O
 それは真直ぐこちらに近付き、

( ^ω^)「姉さん、朝ですおー」

 声とともにドアから学生服の少年が現れ、

(‐、‐*川「――ノックしろって言ってるでしょーが!」

 目を閉じたまま起きた少女が投げた時計が、少年の額に直撃した。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:38:28.53 ID:vES3L147O



   ※


 ペニサスは小さく欠伸を吐くと、薄く瞼を持ち上げた。
視界も意識もはっきりしないまま辺りを見回すと、

(ぅ、`*川「……? 何してるのブーン、そんなところで?」

 部屋の入り口に弟、ブーンがしゃがみこんでいた。
 んー、とローギアの頭にエンジンを掛けながら、現状を整理していく。

(ぅ、`*川(さっきまで私は寝てて、部屋の入り口で額を押さえて膝ついてる弟がいて、
      昨日の晩ご飯は豚角煮で、最近の街角冷血系超人番組“一人でも狩れるもん!”が面白くて、
      でも決めゼリフが“僕の血は真っ青だ”は何か違うような――)

 うん、と整理し終わる。 これはつまり、

(ぅ、`*川「もう、ブーンったらまた勝手に部屋に入って来て……
      入る時はノックしてって、いつも言ってるでしょ?
   ブーンが言い付けを守らない悪い子になったら、姉さん心が痛むわ……」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:40:09.18 ID:vES3L147O

(;^ω^)「い、色々すっ飛ばして言いますけど、今僕も凄く痛いですお……額が」

 こちらの不機嫌な声にブーンが涙目の顔上げる。

(‐、‐*川「きっと姉さんの言い付けを守らなかったから、天罰が下ったのよ。
      こんな朝早くから粛正なんて、神様って高血圧ね……」

(;^ω^)「二度寝しないでくださいお、朝ですお……」

(‐、‐*川「……ノックしろって言ってるでしょーが!」

 うわ、と焦る声が聞こえ、

(;^ω^)「ね、姉さんそれもうやりましたお! 二度寝ただけに二度ネタ、
      あああごめんなさいごめんなさい落ち着いて!! 駄目! そんなの投げちゃ駄目ぇ――!!」

(‐、‐*川「――静かにしなさいっ」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:40:40.38 ID:vES3L147O
 静かになった。
 ペニサスは伸びをして立つと、カーテンを全開に開ける。
朝日が自分と、入り口に変なポーズで転がるブーンを照らす。

('、`*川「……あら、いい天気」

 青は一面曇り一つ無く。
 暑くなりそうな夏晴れだった。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:42:22.78 ID:vES3L147O

   ※

 ペニサスは身仕度を整え制服に着替えると、一階の居間に向かった。
フローリングの居間にはテレビと食卓。
 食卓の上には、

('、`*川「やっぱり朝は味噌汁よね~」

 白米と味噌汁と目玉焼きとサラダが用意されていた。
 味噌汁の具は豆腐とワカメだ。
 食欲をそそる匂いに釣られるように席に着いた。

( ^ω^)「合わせ味噌の比率を変えたから、ちょっと塩っぱいかもしれませんお」

 何時の間にか復帰した向かいの席のブーンが言う。

('、`*川「OK、じゃあ主に祈りましょう。 天に召します我らが父に………」

(;^ω^)「姉さん、うちはバリバリ浄土真宗なんですがお………」

('、`*川「根っからの宗教フリーダム日本人が細かい事気にしないの。
      重要なのはノリよ? ともかく、じゃあ………」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:44:07.76 ID:vES3L147O
 戴きます、と二人で手を合わせ、ペニサスは早速味噌汁を一口啜った。
煮干しの出汁を舌で、味噌の風味を鼻腔で堪能し、

('、`*川「………ん、確かに前より塩っぱいわね。 まあでも、不味いほどでは無いわ」

 そうですかお、とブーンが嬉しそうに返事をしてテレビに顔を向けた。

( ^ω^)「お、新しいケータイ出るみたいですお。 そろそろ替えますかお?」

('、`*川「もう五世代離れてるしね………愛着はあるけど、確かに替え時かもね」

 テレビには、流行りの俳優が最新型ケータイを操作している姿が映っていた。
 最新型ケータイは、手の平に収まるサイズの正四方形型だ。

( ^ω^)「ケータイも進歩してますお。
      数年前はタッチホログラムって付いてなかったって知ってますかお?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:45:30.48 ID:vES3L147O
 ん、と味噌汁を飲み込みながら返し、

('、`*川「視覚・音声操作もね。 あとAIも無かったらしいわ。
      でも、一番革新的に進歩したのはネットワークらしいわよ。
      ちょっと昔は建物とか山奥に入ると電波が届かなくなって、
      通信しにくくなったらしいの」

 サラダのプチトマトを口に運ぶ。
 噛むと水気のある新鮮な歯応えと酸味を感じた。
 そのままお互い食事を続けながら、

('、`*川「………ん、今は国内なら建物の中だろうと確実に通信可能だものね」

( ^ω^)「二足歩行の自立型ロボットも工業系の工場で実践段階って話ですし、
      便利になりましたお」

('、`*川「でもその分弊害もあるわ。 ちょっと前にあったでしょ、
      市役所の人が仕事場でこっそりネトゲやってたらハッキングされて、
      データ改竄された事件」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:47:04.56 ID:vES3L147O

(;^ω^)「その人の戸籍データが“ひろし:勇者Lv16”にされたやつですかお。
      家族構成が女戦士と女武闘家と女土建屋とか偏った一家にされて、
      プロテクトかけられたっていう」

('、`*川「その程度なら可愛いものだけどね。
      ネット犯罪は年々増えてるわ」

( ^ω^)「何事も使う人次第ってことですおね」

 そうして話ながら朝食の最後の一口を食べ終わった時、ペニサスのポケットから音が響いた。
 探って取り出すと、音源はペニサスのケータイだ。
 最新型より一回り大きいピンク色のケータイは使われた年月を表すように、
ボディに細かい傷が付いている。

音は昔のヒット曲のカバーソング。
 この曲が鳴る時は、

('、`*川「ママからね」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:48:31.24 ID:vES3L147O
 ケータイを食卓に置き、通話ボタンを押す。
 すると正四方形の接合している線が割れ、開いていく。
 六つの四角い板が食卓に展開した。

 出来上がると板の上にホログラムが浮かび、

J( 'ー`)し『―――そっちだと今頃お早ようかしら? お早よう、二人とも元気してる?』

 中年の女性の姿をかたどった。
 手の平ぐらいの女性、笑顔の母はペニサス達に手を振っている。

('、`*川「お早ようママ。 二人とも揃って仲良く元気よ」

( ^ω^)「お早ようございますお」

J( '∀`)し『そう、良かったわ。 パパもママも相変わらず元気よw』

 破顔する女性を嬉しく思い、ペニサスも笑みを返す。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:49:37.70 ID:vES3L147O

('ー`*川「パパは? 仕事中?」

J( '∀`)し『いえ、――反省中』

(;^ω^)「………またですかお」

 ええ、と母は溜め息を吐くと困った顔で頬に手を当て、

J( 'ー`)し『パパったら私に内緒で変な株買っちゃったのよ。
      今度は“真・賃貸社”とかいう会社』

(;^ω^)「………なんか若さが溢れ出るネーミングですお」

J( 'ー`)し『それで頭きちゃったから、まあ、なんというか、そのね?
      ――多分しばらく戻らないと思うわ』

(;^ω^)「何したんですかお?!」

J(*'ー`)し「大丈夫よぉ、お腹が空いたら戻ってくるわ~」

(;^ω^)「そういう問題ですかお――?!」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:50:30.52 ID:vES3L147O

('、`*川(秘境投下系はこの前やってたし、多分今回は密室脱出系ね……)

(;^ω^)「ね、姉さんも黙々と考え込まないでくださいお!
      てか、姉さんはそろそろ出ないと!」

('、`*川「あらもうそんな時間? ママ、その事はまた今度じっくりと教えてね?」

J( '∀`)し『ええ行ってらっしゃい。 二人とも元気でね』

 手を振る姿を最後に、母のホログラムが消えた。
元の形に畳まれたケータイをポケットに入れ、

('、`*川「じゃ御馳走様。 行ってくるわ」

 行ってらっしゃいお、という声を背中に聞きながらペニサスは席を立った。
 向かう先は玄関だ。

('、`*川(……さ、今日も生徒会の仕事頑張りましょう!)

 靴を履き、ペニサスは張り切って玄関を開けた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:53:30.63 ID:vES3L147O



   ※



 朝食の片付けを終え、ブーンはのんびりと家を出た。
 通学路の景色は四季を一巡して、二度目の半年を過ぎた。
 ブーンの住む新速市仁茶町は、市の西にある。

 台形の形をしたこの町は、西に流れる練川を境界線として、隣の美府市と接している。
 近年では美府市に影響されるように、都市化が進んでいた。

 ブーンの通う新速第一高校も、今年で開校五周年目の真新しい学校だ。
今まで仁茶町に高校が無かったこと、各住宅地の凡そ中心に位置することから、
開校から瞬く間に生徒数は定員に達した。

 愛称は“新一高”であるが、
殺人事件が起きたり、それを生徒が鮮やかに解決したり、
毒薬のつもりがうっかり若返りの薬を開発してしまったり、ということは無いらしい。


 歩きながら花が散って青々としてきた桜並木を眺めていると、
周りにも同じ制服を着た学生が段々と増えていた。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:54:22.90 ID:vES3L147O
 当ても無い思考で、今晩のおかずはどうしようかなどと思い始めた時、

<ヽ`∀´>「――ブーンちゃん!」

(;^ω^)「!!」

 唐突に背中を突き飛ばされた。
 たたらを踏んで、何とか堪える。
 慌てて振り返れば、見知った学生が三人。

(;^ω^)「ニダー、サイトウ、シラネーヨ……」

( ´ー`)「ボサッとしてんじゃねーよwwwww」

(・∀ ・)「マジでウケるみたいなwwwwwww?」

<ヽ`∀´>「びびった? びびったかニダ?」

 左に両耳に三連ピアスのサイトウ。
 右に制服を着崩した色黒のシラネーヨ。
 そして真ん中に茶色の長髪のニダー。
 三人とも、ブーンを大声で笑いだす。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:55:27.84 ID:vES3L147O
 彼らの周り二歩分ほどは皆避けて近付こうとせず、遠巻きに去っていく。


(;^ω^)(うわ……)

 朝から厄介なのに捕まった。

<ヽ`∀´>「ニダ? もしかしてブーンちゃん怒ってるニダ?」

 知らずのうちに顔に出てしまった。
 それを見たニダーはこちらの肩に手を回すと、平手で肩を強く叩いた。

(;^ω^)「ッ!」

 平手の高い打音が響く。
 打たれた肩に走るような痛みが来て、思わず身が小さく跳ねる。

<ヽ`∀´>「冗談ニダよ冗談! ほらこうして謝ってるニダ、許せニダwww」

(・∀ ・)「またびびらせてどうすんのwwwwww?」

( ´ー`)「てかこいつびびり過ぎwwwwねーよwwwww」

 ニダーにがっしりと肩を捕まれ、他の二人も前に立つ。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:56:24.40 ID:vES3L147O
 完全に囲まれてしまった。

( ´ー`)「そういや俺実はさぁ、昨日財布無くして金欠なんだわ」

(・∀ ・)「マジで?! 俺もなんだけど?!」

<ヽ`∀´>「俺もニダよ、超奇遇ニダwwwww」

(・∀ ・)「うわ昼抜きとかマジヤバくない? 俺餓死しちゃうんですけど?」

( ´ー`)「知らねーよwww」

(;^ω^)(これは……まずいお……)

 この先は奢りという名の喝上げに一直線だ。
 財布の中は千円一枚。
 これが現状全財産だった。

(;^ω^)(何とかしないと……!)

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:57:18.37 ID:vES3L147O

(;^ω^)「ぁ……ぉ……」

<ヽ`∀´>「そういうわけだからニダ」

(;^ω^)「………」

(; ω )(――駄目だお……)

 怖い。
 俯き、心臓が凍ったようになる。
 か細い声しか出ず、相手には届かない。

(; ω )(――どうしていつも僕は――!)

 何も出来ないのだろう。

 ニダーが口の端を吊り上げ、

<ヽ`∀´>「俺達に昼メs――」
  _
( ゚∀゚)「道の真ん中で何してんだよ、お前達?」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 01:58:53.35 ID:vES3L147O
 ニダーの声を遮る男の声。
 はっと顔を上げるとそこには、

从 ゚∀从「あ、ブーンじゃん、オッス」

 見知った金髪の少年と、前髪で片目を隠した少女が近付いてきた。
 少女はこちらに片手で挨拶し、それに気付いた三人は、

(;´ー`)「ジョルジュとハインリッヒ……!」

(;・∀ ・)「ちょ、マジ?!」

<;ヽ`∀´>「お、お前らウリ達に何の用ニダ?!」

 狼狽え出した彼らに、ジョルジュと呼ばれた少年は凛々しい眉を歪め、
  _
( ゚∀゚)「あ? 用も何も、朝から道の真ん中で何してるか聞いただけだろ。
      あと一斉に喋んな。 そして疑問文に疑問文で返すな。
       テスト0点にするぞマヌケ」

从 ゚∀从「最後は無視していいぞ。 で、質問に答えてもらいたいね。
      ――何をしてるんだよ?」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:00:22.18 ID:vES3L147O
 その隣、ハインリッヒと呼ばれた少女は、三人を鋭い目で睨み付ける。
 何時の間にか遠巻きの距離は五歩分離れていた。

(;^ω^)(二人供怖いお……)

(;´ー`)「……お、お前らには関係ねーよ!」

<;ヽ`∀´>「そ、そうニダ! これはウリ達の問題ニダ!」

(;・∀ ・)「あっち行ってろよ?!」

 一気に捲くし立てる三人に、ジョルジュは両手の手の平を向け、
  _
( ゚∀゚)「まあまあ、連れない事言うなよ。 それとも……体に聞いてやろうか?」

 最後の一言を強調して言う。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:01:51.35 ID:vES3L147O
<#ヽ`∀´>「アア?! 上等だニダ!!」

(#´ー`)「怪我しても知らねーぞ!!」

(#・∀ ・)「フルボッコにすんぞ?!」

 三対二、しかも片方は女という優位だからだろうか。
 先程の怯えは消え、三人は既に臨戦態勢だ。
 ハインリッヒは肩をすくめ、

从 ゚∀从「やれやれ。 やるぞジョルジュ」

 両の拳を前に構えた。
 ああ、とジョルジュが真顔で、
  _
( ゚∀゚)「本当にいいんだな?」

从 ゚∀从「何躊躇ってるんだよ。 さっさと終わらせないと遅刻するぞ」

 そうか、と身を引き、
  _
( ゚∀゚)「――じゃ遠慮無く」

 背後からハインリッヒの胸を掬うように持ち上げた。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:02:44.08 ID:vES3L147O



   ※



 ハインリッヒは己の身が固まるのを感じた。
 原因は胸を掴んでる手で、その手に繋がってるのは、

从# ∀从「何してるんだ、ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「ああ。 見ての通り、体に聞いてみてるんだ」

 固まっている皆を無視し、ジョルジュは手をスライドさせ、

从///∀从「って、辞めろ馬鹿そこは――!」
  _
( ゚∀゚)「――何躊躇ってるんだ! さっさと終わらせないと遅刻するぞ?!」

从# ∀从「何をだあ――?!」
  _
( ゚∀゚)「馬鹿、そんなの決まってるだろ、今日も一日元気なおっぱいですか?
      寂しくなって萎んでないですか? ほ~らこうすれば寂しくなくなる、おっぱいおっぱぶっ!!」

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:04:15.02 ID:vES3L147O
 手が円運動を始めたので肩越しに渾身の裏拳を放った。
 覗き込んでいた顔のどこかに当たって、小気味よい音が鳴る。
 振り返り、吹っ飛んでいるジョルジュの襟首を引き寄せ、足を払い、

从#゚∀从「――せいやっ!!」

 大外刈をたたき込む。
 仰向けに倒れたジョルジュにマウントを取り、
  _
(;゚∀゚)「痛ってえ! ま、待てハイン! 話せばわかる!
      ジョークだぜ?! ジョークなんだぜ?! つまらなかったか?!」

从#゚∀从「ほほうならもう一度チャンスをやろう面白くなかったら極刑なハイ3、2」
  _
(;゚∀゚)「え? ちょ、待てよ待てよええっとつまりええっと――」

 眉間に人差し指を置いて汗を流すジョルジュ。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:05:27.06 ID:vES3L147O

从#゚∀从「1、ゼ――」

 構わず右拳を振り上げると、彼は満面の笑みで力強く拳を上下に、





  _
(*゚∀゚)「――おっぱいがいっぱい!!」

从#゚∀从「それが遺言かあ―っ!!!」

 拳を力一杯振り下ろす。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:07:21.35 ID:vES3L147O
 顎を真横にパンチングした一撃に、ジョルジュはがはっとかぶほっではなく、
  _
(  ∀ )「ふっ」

 と息の抜ける音と共に力が抜けた。
 しかしまだ終わらせない。
 振り抜いた右拳を引き戻す勢いを利用して、空いてる左拳を振り下ろす。

 振り抜いて、振り上げ、振り下ろす。
 振り抜き振り上げ振り下ろし、勢いは止まらず連打を叩き込む。

从#゚∀从「このやろっ、死ね、スケベ、大魔王、オラ!!
      ――テメェらも見てんじゃねえよっ!! 見せモンじゃねえぞっ!!」

<ヽ;∀;>(;∀ ;)( ;ー;)「……イヤぁ! 堪忍してぇ――!!」

 何やら抱き合ってがくがく震えている連中を睨み付けると、蜘蛛の子を散らすというか、
檻から逃げ出したライオンを目の前にしたような逃げ方で去っていった。
 そういえば何時の間にか遠巻きというか視界内に人影がブーン以外見えないけど気にした事ではない。

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:08:24.38 ID:vES3L147O

从#゚∀从「悪いのはあれか、脳か?! 胸揉んだり、人のブラ持ち出したり、
      頼んでたプリン買い忘れたのは、この低脳がいけないのか?!
      ――ブチ撒けろブレイン!」

(;^ω^)「は、ハインストップ! なんか関係無い余罪もあるからストーップッ!!」

从 ゚∀从「え? あ、ああそうか、いやそうだな、私としたことが落ち着かないと」

 大の字で、指がぴくぴく痙攣してる以外動かない体の上で深呼吸。
 吸って、吐いて、

从 ゚∀从「――ああなんか気分がすっとした。 ……で、どうしたんだよブーン?」

(;^ω^)「いやどうしたって聞かれても……とりあえず落ち着いたなら、
      それ退いたほうが……」

从 ゚∀从「いや、これは気にしなくていいから。 さっきの、またカツアゲかよ?」

(;^ω^)「………」

 ブーンは俯き、何も言わない。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:10:07.67 ID:vES3L147O
 沈黙は肯定ということか。

从 ゚∀从(……ったく)

从 ゚∀从「もちろん突っ掛かってくる馬鹿が一番馬鹿だけどよ。
      お前が何もしなけりゃ、あいつら止めねえぞ?」

 返事は来ない。
 ちっ、と舌打ちを一つ。

从 ゚∀从(……私はこいつのこういうとこ嫌いなんだよな)

 昔から争い事を嫌って、臆病になり過ぎる。

从 ゚∀从「喧嘩しろとは言わねえよ。 はっきり言うだけでいいんだ。
      だからビビる必要なんか無いんだよ」
  _
( ゚∀゚)「――俺もそう思うぜ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:11:09.78 ID:vES3L147O
 下からの声に見下ろせば、

从 ゚∀从「復帰早いなおっぱい星人」
  _
( ゚∀゚)「伊達に小学生の時からハインのパンチ食らってねえさ。
      でまあ、なんかしないとどうにもならないってのは、ブーンにもわかるだろ?」

 ジョルジュは首を傾け、俯いているブーンと視線を合わせる。
 親指で自分の笑顔を指差し、
  _
( ゚∀゚)「俺が実例だし、さ。 ペニ姉さんの言葉を借りれば、確か、あ、あは……
      ――ハングル寄りウブなヤスシ、だっけか?」

( ^ω^)「……お。 それを言うなら案ずるより産むが易し、だお」
  _
( ゚∀゚)「そう、それさ」

 堪え切れず苦笑を漏らすブーン。
 は、と笑い返すジョルジュ。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:12:30.49 ID:vES3L147O
  _
( ゚∀゚)「何事もやってみなきゃ結果はわかんないさ。
      例えば、勇気出していじめっ子の女の子を負かしてみたら、
      実はその子はいじめられっ子のこと好きだったりな」

 だろ、とジョルジュが同意を求めてくる。

 嫌な振りだ。
 正直耳が痛い。
 とても痛い。

 というかこのニヤケ面は、

从 ゚∀从「……わざと言ってるだろ」
  _
( ゚∀゚)「おいおい、誰もハインの事とは言ってないぜ? 耳赤くするなよ」

从*゚∀从「――! し、してねえよ! 馬鹿かよ!」

 な、という思いが来て、熱が顔に上がってくる。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日:2008/11/12(水) 02:13:25.83 ID:vES3L147O
 慌てて顔を右に向け、見られないようにする。
こちらなら、髪が邪魔で表情は分からないはずだ。
 対しジョルジュは、両拳を目の前に突き出し親指を立てウィンクし、口の端に舌をちろりと覗かせ、
   _
d(*゚∀ー)b「ツンデレハイン、頂きました☆」

 直後、追加の拳を血の登った本能に任せ差し上げた。





  
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