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目次
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:15:54.20 ID:KlxGErA/O



   ※



 体に、血を抜かれるような悪寒が走る。
 “それ”はその時、即座に悟った。
 理由はわからないが、モノが変わったこれはとても危険だと。

 “それ”を脅かすものだと。
 本能が警鐘を鳴らす。
 逃げようとしたその時。

 こちらが動くより速く。
 白騎士の姿が消えた。

 ――どこへ――

 次の瞬間。
 目前に迫る白の残像。
 頭を縦に揺さ振られた。

 強烈なアッパーカット。

 ――?!

 何時の間に接近したのか。
 全く見えなかった。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:18:05.47 ID:KlxGErA/O
 仰け反った身に更に衝撃。
 高速の拳が胸に着弾する。
 息を吐く暇も無い。

 殴られた衝撃に任せ、背後へ大きく跳んだ。
 宙転しバランスを取り、着地。
 体勢を立て直し、両腕を上げ構える。

 対する白騎士も両の拳を掲げ、構えた。
 睨み睨まれ、気を引き締める。
 静寂。

 ――!!

 初動は同時。
 互いの右足が地を踏み、駆け出した。
 倍速で距離が縮まる。

 身を低くし、両腕を抱き付くように広げた。
 這うようなタックル。
 すると白騎士は、身を前に投げ出した。

 捻りを加え頭上、中空で倒立する。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:20:30.53 ID:KlxGErA/O
 避けられた。
 その下を潜り、視線を背後へ。
 目の前には着地した白騎士。

 振り向き様、首へ手刀の水平斬りを放つ。
 当たらない。
 頭を下げ、その下を潜るようにやり過ごされる。

 更に手刀。
 だが。

 正面を突けば横へのステップで躱し。
 胸を狙えば身を捩り躱し。
 足を狙えばその上を行く。

 ――すばしっこい……っ!

 怒りに任せた渾身のストレート。
 大振りのそれは隙を作った。
 懐に飛び込まれ、二度目のアッパー。

 避ける術は無い。
 背景が跳ね上がりぶれた。
 視界の端に捉えた白騎士が身を回す。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:22:32.61 ID:KlxGErA/O
 高速の回し蹴りが無防備な脇腹を打った。
 踏み止まれない。
 ドアを打ち壊し、教室へ吹き飛んだ。

 机と椅子を巻き込んで転がる。
 悠然と後を追ってくる白騎士。
 直ぐ様立ち上がり、隙だらけの白騎士に舌を放った。

 高速の舌が迫る。
 白騎士が手を手の平を広げ前に掲げた。
 走る細長い電流。

 その手に剣が握られる。
 蛇のようにうねる青い刀身。
 青のフランベルジュ。

 青い軌跡が舞い、舌を細切れにした。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:24:01.50 ID:KlxGErA/O

 痛みに悶える間もなく。

 白騎士が迫ってきた。

 速い。

 拳を繰り出す。

 空振り。

 白騎士が宙を跳ぶ。

 青の残光。

 散る火花。

 胸に十字の痛み。

 舞う白。

 突き上げの直蹴り。

 体が吹き飛ばされた。

 脆い窓ガラスを突き破り、重力に引かれ落下した。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:26:24.18 ID:KlxGErA/O



   ※



 ブーンは夢を見ているような気持ちで、それらを眺めていた。
 目の前の光景が、まるで映画のように流れていく。

 視点はサイトウと相対するように。
 視界の隅から意図無く飛び出していく手足は、自分のものではなく。
 見たことの無い、他人のもののようだった。

 視点が落ちたサイトウを追って、窓から外へ飛び降りた。
 降りた校庭には、動かないサイトウが仰向けに倒れている。
 サイトウの分厚い胸板は、十字に裂かれ煙を上げていた。

 ゆっくり近付いていく。
 剣を逆手に構え、サイトウの上で振り被った。
 胸目掛け、振り下ろす。

(; ω )(――止めるお!)

( ♀※♀)「……っ!」

 切っ先が胸に刺さる寸前。
 放った意志が剣を止めさせた。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:28:03.93 ID:KlxGErA/O
 気付く。

 今まで見ていたものは、夢では無いと。
 視界も手足も何もかも、感じていたものは自分のものだと。
 戦っていたのは自分で、今剣を突き立てようとしているのは、

( ♀※♀)「………あ……」

 後ろへよろめいた。
 地面を踏む感覚は冷たく固く。

 手を眼前へ掲げた。
 広げた手の平は白い手甲。

 顔に触れた。
 そこにあるのは、無表情な仮面。

( ♀※♀)「あ……あ……!」

 込み上げ、喉を通り、感情が絶叫として吐き出されようとして、

( ЯмR)「――!」

 突如黒い化け物が降ってきた。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:29:17.08 ID:KlxGErA/O
 黒はハルバートを逆手に掲げ、穂先を地面に向け立てる。
 激音。
 サイトウの頭を穂先が貫いた。

 黒がハルバートを引き抜く。
 サイトウが煙を立て罅割れ、灰となり崩れ散った。
 サイトウを示すものは残らない。

 あっさりと、消え去った。
 その事に何かを動かされる間も無く、黒が駆ける。
 こちらに真っすぐ突っ込み、ハルバートを薙ぐ。

 急いで跳び退いた。
 先程まで居た空間を刄が斬り裂く。
 追撃。

 黒が連続でハルバートを斬り振るう。
 右袈裟、足元、逆左袈裟。
 伏せ、跳び、剣で受ける。

 更に来る正面斬りを、寝かせた剣の鍔元で受け止める。
 快音。
 踏ん張り、押し合う。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:31:10.15 ID:KlxGErA/O

( ♀※♀)「……止めるお! 僕は敵じゃないお!」

( ЯмR)「――黙れ!」

 ハルバートを柄の中心から縦に回転し、石突きが剣をかち上げる。
 剣が上に弾かれ、石突きの刺突が空いた胸を打つ。
 衝撃に押され、仰向けに倒れた。

 立ち上がろうと微かに浮いた上半身、その首に鋭い穂先が突き付けられる。

( ♀※♀)「う……!」

( ЯмR)「終わりだ」

 ハルバートが振り上げられる。
 死ぬ、と言葉浮かんだ時、
  _
(;゚∀゚)「待てぇ――!!」

 制止の声が頭上から降る。
 止まった穂先、見上げる黒。
 視線を追えば、四階の窓から身を乗り出すジョルジュがいた。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:33:08.49 ID:KlxGErA/O
 その顔は遠目にも汗に塗れていた。
  _
(;゚∀゚)「待ってくれドクオ、そいつは俺の……!」

( ЯмR)「……駄目だ!」

 ドクオと呼ばれた黒は、ジョルジュに届くよう叫んだ。
 否定と冷徹の意志を。

( ЯмR)「こいつは人の境界を踏み外した! もう戻っては来れない!
      ――いずれ理性を失って、人を襲う!」

( ♀※♀)「………え……?」

 待て。
 何と言った。

( ♀※♀)「戻って……来れない……?」

 背中を冷たい何かがなぞる。
 それはつまり、ニダーやサイトウのように、

( ♀※♀)「……皆を襲う……化け物に……?」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:34:53.94 ID:KlxGErA/O
  _
(;゚∀゚)「だけど! あんたみたいな例外だって有るんだろ?!」

( ЯмR)「……俺と! 俺なんかと比べるな!!」

 黒がこちらに向き直る。
 その目からは、感情を感じない。
 感じさせない。

( ЯмR)「怨みたければ怨めばいい! ――それでも俺はこいつを殺す!」
  _
(;゚∀゚)「おい待て!! 待ってくれっ!」

 ジョルジュと視線が噛み合った。
  _
(;゚∀゚)「ブーン! お前は人間だ! ――そうだろブーン!」

 その声は必死に懇願する。
  _
(;゚∀゚)「お前は人間だ!」

 だから、
  _
(;゚∀゚)「――戻ってこい! 戻ってきてくれ、ブーン!!」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:37:24.85 ID:KlxGErA/O



   ※



( ♀※♀)「……僕、は……」

 ――皆との日常。
 再び掲げられる穂先。

( ♀※♀)「……僕は……」

 ――変わり果てたニダーやサイトウとだぶる己。
 黒が何かを呟いた。

( ♀※♀)「僕は……!」

 ――大切な人達。
 ジョルジュの叫び声が聞こえた。

( ♀※♀)「――僕は、人間だお!」

 ――皆の元に帰る。

( ♀※♀)「化け物なんかじゃ、無いお――!」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:41:03.14 ID:KlxGErA/O



   ※



 周囲を、自分を何かが照らした。
 黒の動きが止まる。

( ЯмR)「……」

(   )「……?」
  _
(;゚∀゚)「……った! やった!」

 ジョルジュの声が段々と興奮していく。
 無言で黒がハルバートを下ろした。

(   )(……どうしたんだお……?)

 疑問に恐る恐る上半身を起こすが、黒は動かない。
 そして目に映った下半身は、白の具足では無く。
 制服のズボンだった。

(   )「……え」

 掲げれば、肌色の手。
 柔らかい頬。
 元の自分だ。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:43:32.92 ID:KlxGErA/O

( ^ω^)「戻った……お……」

 簡単に戻れた。
 安堵とともに拍子抜けし、呆然とする。

( ЯмR)「……そうか」

 ハルバートを握った黒の淡々とした声。
 呟くようだったが、確かにその名は聞こえた。

( ЯмR)「お前も、俺と同じ――」


 ――アウトサイダーか。


( ^ω^)「……アウトサイダー……」

 どういう事だ、と思った時、音が近付いてきた。
 超高速のビートでドラムを叩くような高音は、こちらに走ってくる。
 振り向けば黒いバイクのようなものが、無人で勝手に走ってきた。
 カウルや巨大なバーナーを付けたそれは、バイクというより装甲車のようだ。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:47:12.44 ID:KlxGErA/O
 後輪を滑らせ、こちらの手前で横向きに停止する。

『――撤退だ、ドクオ』

 バイクから凛とした女性の声が響く。

『ここにもう反応は無い。 加えて、十五分以内に警察機関が到着。 迅速な撤退を要求する』

( ЯмR)「了解」

 黒がバイクにまたがった。
 あ、と気付く。

(;^ω^)「待てお! 色々聞きたい事が――」

 声はマフラーの炸裂音に掻き消された。
 走り出し、すぐに視界から消えそうな速さで遠ざかっていく。
 ブーンは去っていく黒の背を眺め、小さく問い掛けた。

(;^ω^)「……一体、何が起こってるんだお……?」

 答えは無く。
 一人取り残された頭上には、中点の太陽が浮かんでいた。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:50:23.14 ID:KlxGErA/O



   ※



ノキW - ノv「……ふふ」

 女性の声が空に溶ける。
 圧のある風が吹き付けるそこは、鉄の柱で出来た塔。
 電波塔。
 その最も空に近い場所に、一人の女性が腰掛けていた。
 長身の彼女が纏うのは、紺色をしたスーツ。
 その上を、腰まで伸ばした銀髪が風に揺れ踊っている。

ノキW - ノv「ただの監視と思ったら、とんでもない獲物が釣れたものね」

 女性は眼下、入道雲の下に広がる町並みを見つめ。
 静かに笑みを浮かべた。

ノキW -゚ノv「覚醒者を撃破した、二体のアンノウン……面白くなりそうね」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:53:19.74 ID:KlxGErA/O





      第二部  都市の闘争者






24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:55:52.57 ID:KlxGErA/O



   ※



 暗闇の中に音が響く。
 ヒールの音が立てる足音だ。
 夜の帳が降りた遊園地。

 周囲は無人不動。
 そこを一人のスーツ姿の女性が、月明かりを浴び歩いていた。

 長いストレートヘアーが、歩く度に柔らかく揺れる。
 ボンと出た臀部、キュッと引き締まった艶かしいアーチを描くウエスト。
 若干手足は筋肉質かとも思うが、それをも感じさせぬ豊満な胸。

 モデルのような美しい歩き方で、女性はメリーゴーランドを横切る。
 そんな中、女性に音も無く近寄る影があった。
 影はメリーゴーランドの屋根、その上から濁った輝きの瞳で女性を見つめている。

 だらしなく涎を垂らす口から、伸ばした紫の舌が雫を落とした。

( q,,p)「ハァァ……」

 影は灰色の化け物の姿をしていた。
 無音で地面に降りると、足音を忍ばせ女性に近付いていく。
 女性は気付かない。
 じりじりと距離は縮まり、化け物の息遣いが抑えられなくなっていく。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 02:58:05.25 ID:KlxGErA/O
 互いの距離があと一歩という距離になった時、化け物が女性を捕まえようと手を伸ばした。
 指先が触れようとするその時。
 唐突に女性が振り向いた。


(*´・ω・)彡 クルリ

 ――どう見てもニューハーフです、本当にありがとうございました。


 と、言いたくなるような顔だった。
 意識も体も諸々石のように硬直して動けなくなる化け物。

(*´゚ω゚)『釣られてんじゃねえぞこのクマ公ッ!』

 野太い声でニューハーフが叫んだ。
 くらえ、と下唇と顎が下にスライドする。
 口の奥に表れたノズルから、泡状の液体が噴出された。

 化け物の目に吹き掛けられたそれは、瞬時に凝固する。

( q,,p)「ガッ?!」

 視界を奪われ、泡を引っ掻く化け物。
 その時、化け物を幾つものまばゆい光が照らした。
 四方八方から光条を当てられ、幾つもの影が地面に伸びる。

(*゚ー゚)「――あらあら」

 そこへ、一人の女性が表れた。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:00:12.14 ID:KlxGErA/O
 影の中から表れた女性は見た目二十代前半。
 全身に黄色い装甲を纏い、その腰には二丁の拳銃が下がっていた。
 関節部以外を覆うように装備されたその上を、オレンジ色のショートヘアが軽やかに揺れる。
 化け物を前にして、女性はにこやかな笑みを見せた。

(*゚ー゚)「こんなのに本当に引っ掛かってしまうのですね。 少々興醒めですよ?」

(*´・ω・)『ふふふそれは仕方ないと言うものだよシイさん。
      我々の作戦が、完・璧! 過ぎただけさ!』

 ニューハーフが額に手を当てポーズを決める。
 シイと呼ばれた女性は頬に手を添え晴れやかに笑い、

(*゚ー゚)「あらあら同じ部類にカテゴライズしないで頂けますか?
      私極々平凡な一般人ですので」

(*´・ω・)『……後半は置いとくとして。
      興味本位で聞くけど、君のカテゴリでは僕どんなジャンルなのかなぁ?』

(*゚ー゚)「ええ、まずあちらを御覧下さいな」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:03:23.68 ID:KlxGErA/O
 シイの指差す方向、そこには泡を引っ掻く灰色の化け物。
 ニューハーフは目を細め、穴が開くほどそれをじっと見つめた。

(*゚ー゚)「見ましたね? では次はこちらを」

 掲げた手の中、そこには手鏡があった。
 向けられた鏡面には、ニューハーフが映っている。

 前髪が乱れているのに気付いて軽く整えて。
 あと自分なりのサービスショット。
 目を凝らし己の姿に納得したニューハーフに、シイは頷いてみせた。

(*゚ー゚)「……類友とは今まさに使うべき言葉ですのね?」

(*´゚ω゚)『きっさま――!』

(*゚ー゚)「あらあら変態は黙ってくださらない? そろそろ仕事の邪魔ですので」

 シイの視線の先、化け物が泡を掻き取った。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:06:08.47 ID:KlxGErA/O
 光条に照らされたその顔は、

(*゚ー゚)「不細工が更にひどい顔」

(*´・ω・)『怒ってるよねぇ、あれ……』

 化け物は臨戦体勢だ。
 牙を剥き、大口を開け涎を撒き散らした。
 殺気立った視線がシイを舐め、息を荒立てる。

 そして一歩踏み出した。

( q,,p)「――!」

 その足を渇いた音とともに、銃弾が貫通した。
 悲鳴を上げる化け物と同時。
 シイの足元には空の薬莢が転がっていた。

(*゚ー゚)「そこから動かないで下さいな、臭うので」

 全く笑みを崩さないその右手には、何時の間にか拳銃が構えられていた。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:07:08.61 ID:KlxGErA/O
 銀のフレームに鷹のレリーフが刻まれた大型の銃。
 その銃口からは硝煙が一筋登る。

(*゚ー゚)「折角のワンマンステージ、しかもスポット着きですのよ?
     一芸も披露なさらないで退場とは、不粋と言うものでしょう」

 腰のホルスターからもう一丁の拳銃を抜く。
 右と同じく銀のフレームだが、左に描かれているのは獅子。
 鷹と獅子の二丁拳銃を突き出し、

(*゚ー゚)「ちなみに今宵のオススメはダンスです。
     ――張り切って踊って下さいな」

 連続で火を吹いた。
 撃たれる度化け物の手足が跳ね、引き、回る。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:08:59.88 ID:KlxGErA/O
 シイはステップを踏んで身を回し、角度を変えて弾道を予測させない。

 拳銃は指揮棒のように。
 発砲音は高速のリズムのように。
 被弾者はぎこちない操り人形のように。

 笑みの指揮者の下、異形の舞踏者が不恰好なダンスを踊る。

(*゚ー゚)「――フィニッシュ!」

 二丁同時の一音とともに、化け物の頭が後ろに仰け反る。
 引かれるように傾き、大の字で仰向けに倒れた。
 その手足は穴だらけになっている。

 体中から煙を上げ、微かにも動く気配は無い。

(*´・ω・)『……やったかい?』

(*゚ー゚)「……」

 耳を押さえて伏せていたニューハーフが恐る恐る身を起こす。
 シイは答えず、二丁拳銃を構えたまま動かない。
 その時、突然化け物が首だけ起こした。


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:11:05.34 ID:KlxGErA/O
 無傷の頭、その口から発射される舌先。
 槍のように伸びる先にはシイの胸。

(*゚ー゚)「――!」

 シイの反応は早かった。
 身を捩り素早く右横に跳ぶ。
 舌が体の横を通り過ぎた。

 だが化け物が首を振ると伸びた舌はゴムのようにしなり、鞭となってシイを追った。
 だがシイは笑みを崩さない。

(*´・ω・)『――フンッ!』

 追ってくる舌とシイの間に、ニューハーフが割って入ってきた。
 両手で舌に掴み掛かる。
 だが舌を掴むとそこから舌が折れ、頭に巻き付いた。

 頭部を隙間無く埋めつくす。
 そして勢い良く舌が引き戻された。
 ニューハーフの頭が関節を無視して、独楽のように回転する。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:12:41.16 ID:KlxGErA/O
 皮膚は切り裂かれ、頭髪が飛び散る。
 回転した頭を乗せ、体が派手な音を立て崩れ落ちた。

( q,,p)「ガアァッ!」

 飛び起きた化け物がシイに突っ込んだ。
 シイが迎撃する。
 だが胸を狙った弾丸は火花とともに弾かれた。

 胸には浅く弾痕が残るのみ。

(*゚ー゚)「――あら、厄介ですね」

 忘れ物を思い出したような軽い驚きで、シイは呑気に呟いた。
 気にも止めず化け物が駆け、だが、

(   )「――!」

 九十度頭を回転させたニューハーフが、再度二人の間に入った。
 互いの両手がぶつかって重なり、力比べの組合になる。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:15:07.20 ID:KlxGErA/O

(   )「……エー、やっと喋れます、エー」

 ニューハーフの背後に向いた顔から声が発せられる。
 しかしその声は野太い中年では無く、甲高い合成音だ。

(*゚ー゚)「あらあらお目覚めですのヨコホリさん。 体はご無事で?」

(   )「エー、各部位にエラーは見られないですね、エー」

 背後にいるシイに頷いてみせる、ヨコホリと呼ばれるニューハーフ。

(   )『本当に大丈夫かヨコホリ?! 何も問題無いか?!』

 顔の同じ場所から、今度は先程の中年の声が響いた。

(   )「エー、強いて言うなら社長にこの格好について問いたいのですが、エー」

(   )『美しいだろう? 我ながら完璧なキャリアウーマンを作り上げたものだよ!
      化け物も我慢出来ない尽きない魅力!』

(   )「エー、答えになってないですが社長は素晴らしいと思います、エー」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:17:10.69 ID:KlxGErA/O

(   )『ふはは聞いたかねシイさん! 僕素晴らしいって!』

(*゚ー゚)「適切に言っていいのですのよ、ヨコホリさん?」

(   )「エー、“お父さんって服のセンス無いのよねー”、提供はデレ様です、エー」

(   )『きっさま――!!』

 置いていかれた化け物が怒りの声を上げた。
 組み潰そうと両腕の筋肉が膨らむ。

(   )「……エー、そろそろ本気で相手をしましょう、エー」

 ヨコホリの頭の向きが正面へ戻ってくる。
 表面の皮膚が破れ落ちたその顔は、鋼色。
 螺旋を打ち付けられた頭部。

 目と思わしき部分には黄色いライトが点いている。

(//‰ ゚)「エー、バーボン技術開発局製万能アンドロイドのヨコホリです、よろしくお願いします、エー」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:19:55.65 ID:KlxGErA/O
 太い化け物の腕と比べ細腕のヨコホリだが、組合の均衡は崩れない。
 組み合ったまま互いの視線がかち合った。

(//‰ ゚)「――!」

( q,,p)「――!」

 動きは同時。
 鏡合わせのように頭を引き額を突き出す。
 中間で互いの頭突きがぶつかり合った。

 鐘を鳴らすような打音。
 弾かれるように退き、化け物が右ジャブを撃つ。
 左腕で受け止めたヨコホリはびくともしない。

 続けての左も右で防ぐ。
 何度殴られても、ヨコホリは的確にそれを防いでいく。
 それでも化け物は攻撃を止めない。
 ヨコホリを潰そうと両手を上に振り上げ、


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:21:52.65 ID:KlxGErA/O

( q,,p)「!」

 気付き後ろへ跳ぶ。
 元いた地面に弾丸が撃ち込まれた。
 そのままシイが射撃するが、その時その位置には化け物はもういない。

 大きく背後へ跳び上がり、メリーゴーランドの屋根へ着地。
 屈み溜め、空へと高く跳躍した。

(//‰ ゚)「エー、逃げる模様です、エー」

(*゚ー゚)「大丈夫、手は打ってあります」

 跳んでいく化け物を見上げるヨコホリの隣で、シイは余裕の笑みを浮かべた。
 耳に付けたイヤホンに手を添える。

(*゚ー゚)「ギコ君プランB、そっちに任せます。 ――止めを刺しなさい」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:24:22.12 ID:KlxGErA/O



   ※



(   )「――了解だぞ」

 夜空に浮き出る、巨大な円のシルエット。
 それは、灯りの無い観覧車だ。
 その頂点の一室に声が響いた。

 一室の中で影が立ち上がり、派手な音を立てドアを蹴り開ける。
 月明かりに照らされ表れたのは、シイと同じ黄色い装甲を纏った少年。
 小麦色の肌の少年は逆立った黒髪を揺らし、ある物を空に向け肩に担いだ。

 それは細長い鉄筒の先に、菱形の鉄塊が装着されている物。

(,,゚Д゚)「……対戦車用バズーカ砲」

 鉄筒の横からせり出した四角いフレームを眼前に合わせた。
 フレームの先には、空に浮かぶ小さな影。

(,,゚Д゚)「ターゲット確認」

 フレームに張られている電子板の中で、白の大きい円と小さい円が移動する。
 バズーカ砲を微かに傾け微調整。
 大きい円の中心に小さい円が填まり、色が赤に変わった。


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:28:51.94 ID:KlxGErA/O
 トリガーに指を掛け、

(#゚Д゚)「――木っ端微塵にしてやるぞゴラアァッ!!」

 発射する。
 爆発音。
 ラッパ上の尾部から火柱が迸った。
 飛行した弾頭は尻から炎を吹き出し、緩く回転しながら影へ直進。
 直撃し、爆発した。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:30:10.57 ID:KlxGErA/O



   ※



 夜空に開く赤の花。
 それを見上げ女性は微笑んだ。

(*゚ー゚)「よくやりましたギコ君」

 これで、と繋げ、


「「「……ミッションコンプリート」」」


 人々を隠す暗闇の中、様々な声が重なった。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:34:03.38 ID:KlxGErA/O
本日の投下は以上で終了です、支援ありがとうございました。

>>31
作者は画面の前でコサックダンスで喜びを表現しています。

>>39
夜型人間なので、集中できるのは深夜だけなんです。ご了承下さい。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/24(月) 03:44:25.69 ID:KlxGErA/O
・本日の反省点
 バトルはもっと濃くていい
 シイとヨコホリは退魔師の影響だ
 書き溜め\(^o^)/

それでは皆さん、お休みなさい。



ttp://jfk.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1227460176/





  
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