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総合短編
369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:23:15.91 ID:xuL29yKkO

 一人かくれんぼ。
 それは、友人からウルトラ怖がりの私に託された、試験みたいな何か。

 誰かと一緒にホラー映画なんかを見る事も出来ず、お化け屋敷にも入れない。
 それはホラーが好きな友人にしてみれば、ひどくつまらなくて歯痒いらしい。

 それもそうだ。
 仲の良い、親友と好きな事を共有できないのだから。
 つまらないし寂しいだろう、それは私も申し訳なく思う。

 出来るならば、この怖がりを治したいとも思う。


 でもよ、だからってよ。


川 ゚ -゚)(あいつ殺すマジ殺す絶対殺すマジ怖い怖いあいついつかコロ助)


 怖がり治すために、一人かくれんぼやらせるかよ、普通。



371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:25:20.99 ID:xuL29yKkO


川 ゚ -゚) すげぇようです。




372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:27:14.43 ID:xuL29yKkO

 部屋は暗い。
 押し入れの中は狭くて埃臭くて、コップで飽和状態になってる塩水が切ない。
 テレビから流れる自然環境系番組の、川のせせらぎの音が切ない。
 さっき風呂場で刺したアメリカ黒ネズミの人形を思い出すと、切ない。

 つうか暗い、寒い、怖い。お小水漏れそう。


川 ゚ -゚)(クーが怖がりなんて似合わなーいとか言われても怖いモンは怖い)

川 ゚ -゚)(クールにしてても怖いモンは怖いんだ)

川 ゚ -゚)(つうかクールじゃなくてこれただの無表情じゃねぇか)

川 ゚ -゚)(人の顔つかまえて何言ってんだチクショウ怖い怖い怖いわボケ死ね)

川 ゚ -゚)(OK、KOOLになれ素直クール、それが私のアイデンティティー(笑))

川 ゚ -゚)(なれるかボケ死ねチクショウ)

川 ゚ -゚)(あ、外で声が聞こえる)

川 ゚ -゚)(環境系で声が出るわけねぇから、これが心霊現象か、なるほど)

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)(恐怖でお小水漏れる)



373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:29:11.21 ID:xuL29yKkO

 暗い押し入れの中、私は膝を抱えて携帯片手に、恐怖で目を見開く。
 端から見ればきっと私の方がホラーな存在なのだろうが、んなこた知らねぇ。

 それより襖の向こう側で、掠れた男の声が聞こえる。
 何を言っているのかと耳を澄ましてみれば、
 どうやら『足、足』とか言ってるらしい。
 男は足三本あるから良いじゃねぇか真ん中の足握ってしごいてろチクショウ。

 その声は近付いたり遠退いたりして、狭い部屋の中をうろうろ。
 独り暮らしなんだから他に人なんか居やしない。
 さっきも言ったがテレビは環境系。

 つまりナチュラルに現れた声と人の気配は、人じゃない何かのもの。
 こそ泥だったら足足連呼しないだろうし、襖もすぐに開けるだろう。

 ふむ、なるほど。
 私の部屋には今、幽霊様がいらっしゃる訳だな。
 なるほどなるほど。


川 ゚ -゚)(私は死ぬのか、幽霊に殺されるのか)

川 ゚ -゚)(死んだら化けて出てや)

川 ゚ -゚)(意味ねぇな)



375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:31:07.92 ID:xuL29yKkO

 今さらだが、一人かくれんぼのルールを荒く思い出してみよう。産業で。


 深夜に
 準備して
 怖い目に会おう


 ろくなもんじゃない。


川 ゚ -゚)(ええと、適当に時間が経ったら塩水を口に含んで)

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)(しょっぺぇ!!!! 口ん中いてぇ!!!!)

川 ゚ -゚)(口に含んだら、ええと)

川 ゚ -゚)(ええと)

川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)(あれ)


 恐怖でルール忘れた。



376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:33:04.08 ID:xuL29yKkO

 おお思い出せ、静かに思い出せ。塩水飲み込んで思い出せ。
 混乱するな素直クール、私はそんなキャラじゃない。

 くぅるになれくぅるになれ、くるぅになれくるうになれ私。


川 ゚ 々。)


 よし、落ち着かない。
 これは死亡フラグビンビン。

 あ、なんかカリカリいってる。
 めっちゃカリカリいってる。
 誰かが襖を引っ掻いてる。
 視線も感じるし『見つけた』とか聞こえる。
 ヤバイぞぉーはっはっはっ。死ぬ。



377 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:35:13.43 ID:xuL29yKkO

 もはや地の文が地の文として機能しなくなってきた。
 私は素直クールなんだよな、クールなんだよな、素直にクールならこんな時
 こんな時、私は、


『見つけた見つけた』


川 ゚ -゚)(黙れ死ねうんこバカおっぱいおっぱいおっぱわっふるわっふるわry)


 何故か頭上からも感じる視線に、
 私は静かに静かに携帯を開き
 電話帳を呼び出し
 メール画面にし

 『助けておっぱい』と打ち、送信した。

 その送信相手は、兄さんだった。


 その時は、それが兄さんのアドレスに送る
 最後のメールだなんて、思いもしなかった────



378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:37:21.82 ID:xuL29yKkO

 永遠と思える様な、長い長い時間だった。
 実際は数分だったのだけれど、私にすれば生きた心地がしない、長い時間。

 一人かくれんぼのルールなんか頭からすっぽぬけていたから
 準備もなく他の人を部屋に呼んじゃいけない、なんて覚えてなくて。
 それが兄さんにとって、どんな事かも分かってなくて。

 私はただ、自分が助かりたいから、と
 兄さんを、犠牲にしてしまったのだ。


 犠牲
 英語で言うと、サクリファイス。

 なんかカッコイイ。



380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:41:02.34 ID:xuL29yKkO


 襖を引っ掻く音が、襖を叩く音に変わった頃。
 感じる視線が複数になった頃。

 突然、玄関の扉が粉砕される音
 そして耳に届いた言葉は────


  _
( ゚∀゚)「おっぱあああああああああい!!!!」


 あ、兄さん来た。


 電気をつける音、兄さんの足音、そしておっぱい。

 ずんずんと力強い足音とおっぱいが交差し、
 素晴らしいハーモニーを産み出している。

 素敵だ、兄さん。



383 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:56:24.85 ID:xuL29yKkO

 おっぱい!おっぱい!と言う叫びを響かせながら、
 目の前の襖が、勢い良く開いた。

  _
( ゚∀゚)「無事か妹!」

川 ゚ -゚)「お小水漏れそう」
  _
( ゚∀゚)「兄さんがトイレにつれてってやろ……ん?」

川 ゚ -゚)「ん?」
  _
( ゚∀゚)「これはお友達か?」

川 ゚ -゚)「はい?」


 襖を開け放ったガチムチ兄さんに救出された私は、押し入れから這い出て
 兄さんが指差す方向、押し入れの上の段を見上げた。



384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 03:58:09.05 ID:xuL29yKkO

川д川

川 ゚ -゚)

川д川「こ、こんば

川 ゚ -゚)「誰だお前」
  _
( ゚∀゚)「これも幽霊か」

川 ゚ -゚)「おうよたぶん」
  _
( ゚∀゚)「よし、じゃあ……」

川; д川「あ、ちょ、ま」
  _
( ゚∀゚)「おっぱあああああああああい!!!!」

川。'.∵. バシュウウウウ
  _
( ゚∀゚)「半分しか吹き飛ばせないか……親父の様にはいかないな」

川 ゚ -゚)「親父すげぇ」



386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 04:00:14.37 ID:xuL29yKkO
  _
( ゚∀゚)「部屋にいた幽霊は、俺がおっぱいで吹き飛ばしたが……大丈夫か?」

川 ゚ -゚)「いつの間にかトイレ行ったしもう大丈夫、ありがとう兄さん」
  _
( ゚∀゚)「なら良かった、危ない真似はあんまりするなよ?
     あとお前も寺生まれなんだから、もう少し怖いのには慣れなきゃ」

川 ゚ -゚)「慣れようとした結果がこれよ兄さん」
  _
( ゚∀゚)「なるほど納得。     クーからおっぱいメールが来たから何事かと思ったぜ」

川 ゚ -゚)「ははは、何かないと兄さんにおっぱいなんて送らないよ」
  _
( ゚∀゚)「それもそうだな、はははは……うん?」

川 ゚ -゚)「ん?」
  _
( ゚∀゚)「外が騒がしいな……少し見てくる」

川 ゚ -゚)「気を付けて」



387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 04:02:21.21 ID:xuL29yKkO

 兄さんがのっしのっしと明るくなった部屋から出て行き、玄関へと。

 私は、いつの間にか環境系番組からビデオデッキに入れたままのAVを再生しているテレビの電源を切り
 押し入れの中の塩水を持って、風呂場へと向かった。

 そして、湯船に入っている人形に塩水を吹き掛ける


 筈だったのに
 人形は、どこにも無かった。

 人形に刺したままだった刃物も、無かった。


 背筋にぞわりと冷たいものが走り、何故か、兄さんの事が心配になる。
 帰って来ない兄さんに抱く、不安。

 再び襲い来る不安と恐怖に満たされた私は、
 塩水を持ったまま、玄関へと走った。



388 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 04:04:40.74 ID:xuL29yKkO


 外に広がる光景は、私の目に飛び込んできた光景は

  _
( ゚∀゚)∞⊂( ・∀・)

 警察に連行されてる兄さんだった。


( ・∀・)「あ、ここに住んでらっしゃる方ですか?」

川 ゚ -゚)「あ、はい」

( ・∀・)「お怪我はありませんか?
     お隣の方が、強盗らしき人間が隣の部屋に来たと通報されまして」

川 ゚ -゚)「あー壁の薄いアパートですからね」

( ・∀・)「はい、何やらおっぱいおっぱい叫んでるから
     これは危ないんじゃないか、と思ったらしいです」

川 ゚ -゚)「あ、そうですか、ありがとうございます。お隣さんは?」

( ・∀・)「貞子さんとおっしゃる方なんですが、姿が見えないんですよ……
     あ、ではこれで失礼します、何かあったらご連絡しますので」

川 ゚ -゚)「はい、ありがとうございましたー」


389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/17(火) 04:07:39.71 ID:xuL29yKkO


川 ゚ -゚)

川 ゚ -゚)「兄さん、すげぇな」

川 ゚ -゚)「いやしかし、あの人、人間だったのか」

川 ゚ -゚)「流石は兄さん、人間をも吹き飛ばすとは」

川 ゚ -゚)「ん? じゃあ殺人になるんじゃ……?」



 これから数日後、兄さんは泣きながら釈放された
 老人の様に背中をぐんにゃりしていて、何かずいぶん堪えたらしい。

 殺人云々は言われなかったらしくて、少し安心したが。
 礼くらいは言った方が良かったよなあ、お隣さんゴメンネ。

 ルールは忘れちゃダメよね、うん。

 たぶん兄さんはまた、私を助けてくれるだろう
 素晴らしい、素敵な自慢の兄さんです。
 欠点は、除霊時の叫びがアレな事かな。
 寺生まれ、すげぇなあ。


おわり。


参考:一人かくれんぼ





  
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