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目次

2 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:06:09.52 ID:499MDH3Y0






第六話【死】
4 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:08:05.16 ID:499MDH3Y0
重低音。
悲鳴。
すぐ側で人が殺されるのを感じながら、僕とツンはゴミ箱の中に身を潜めていた。


( ^ω^)「大丈夫だお」


僕は隣で体を震わせているツンに囁いた。
彼女は唇を強く噛みしめていた。
その表情は、恐怖というよりは怒りに近いように見えた。


やがて銃声も人の気配も無くなった。
歩いては隠れ、歩いては隠れの繰り返しだった。
歩いている間、僕らはもうほとんど会話をしなくなっていた。
道に転がっている死体にも、もはや慣れてしまっていた。

僕は携帯のナビを開いた。
皇居までもう少しだ。
もうすぐ父に会える。
父に会って、全てを聞くんだ。

5 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:10:46.34 ID:499MDH3Y0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、あれ」


ツンが前を指差した。
たくさんの人影が見える。
テロリストの着ている白と黒の服装じゃない。


ξ゚⊿゚)ξ「きっと特殊部隊とかそんな人たちね」

( ^ω^)「武装してるお」

ξ゚⊿゚)ξ「きっとテロリスト制圧に出るつもりだわ」


それでは父に会えない。
彼らが行動に出る前に、皇居に乗り込まなくてはならない。

7 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:12:58.90 ID:499MDH3Y0
( ^ω^)「ツン、僕はどうしても父に聞かなきゃいけないことがあるお」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「だから僕は、あそこを突っ切って走るお」

( ^ω^)「ここでお別れだお」


僕はツンの顔を見ずに言った。


ξ゚⊿゚)ξ「……」


ツンはポケットに手を突っ込んで考え込んだ。


8 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:14:54.25 ID:499MDH3Y0
やがて何かを決意したように、口を開いた。


ξ゚⊿゚)ξ「私も走るわ」

( ^ω^)「もしかしたら、入る前に殺されるかもしれないお」

ξ゚⊿゚)ξ「殺されないわ」

ξ゚⊿゚)ξ「私は、絶対に殺されたりしないわ」


( ^ω^)「わかったお」


僕は頷き、前を向いた。


( ^ω^)「じゃあ、走るお」

ξ゚⊿゚)ξ「うん」


上着のポケットにある拳銃を確認し、僕たちは駆け出した。
特殊部隊の制止を振り切り、皇居目指して走った。

9 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:16:31.53 ID:499MDH3Y0
~~~~~~


「開けろー!!」

「怪我人がいるのよ!」

「病院だろうが!!」


病院の入り口は騒然としていた。
入り口には机を使ってバリケードが作ってある。


('A`)「これは入りようがねえな」

J( 'ー`)し「こんなときだもの。しょうがないわ」

('A`)「せめて手当てだけでもしてくんねえかな」


ここの人たちは比較的軽傷に見えた。
重傷の人は、こんなところで叫んでる余裕はないだろう。

10 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:17:57.08 ID:499MDH3Y0
J( 'ー`)し「疲れたでしょう? カーチャンもう歩けるから、このまま帰りましょ」

('A`)「ダメだ。俺がおぶってく」


そういえば近くに薬局があったか。
店員はいないだろうし、包帯でも貰って行こうか。


( ・∀・)「あの、すみません」


急に後ろから声をかけられた。


( ・∀・)「一体何が起きてるんですか?」

('A`)「俺もよくわからないんですけど、病院が開けてくれないんですよ」


俺は答えながら、男の後ろに立っている女の人を見た。
綺麗な人だ。
ただ、その表情はガラスのように無機質で、ぼんやりと遠くを眺めていた。

11 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:19:54.53 ID:499MDH3Y0
( ・∀・)「病院もひどいですよね」

('A`)「ですよねー」

( ・∀・)「ちょっといいですか?」


男はカーチャンの足の傷を見た。


( ・∀・)「これくらいの傷なら僕が治療してあげましょうか?」


女の人が一瞬驚いたような表情を見せた。


J( 'ー`)し「いえいえ、そんなに……」

( ・∀・)「昔ボランティアみたいなことをやってましてね。困ってる人を見ると助けたくなるんですよ」

( ・∀・)「クー、車の中にある木の箱を持ってきてくれ」


クーと呼ばれた女性は男に何か呟いた。
男がそれに小声で答えると、彼女は渋々近くに停まっている車へと向かった。

12 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:22:15.09 ID:499MDH3Y0
( ・∀・)「お兄さん、何歳?」


男が母の手当てをしながら尋ねてきた。


('A`)「17っす」

( ・∀・)「高2かー。親孝行だなんて偉いね」


親孝行?
そんなことしてるつもりはなかったし、考えたこともなかった。
これが終わったら、親孝行でもしようかな。

15 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:24:38.55 ID:499MDH3Y0
( ・∀・)「親はいついなくなるかわからないし、今のうちにたくさん親孝行しとくんだよ」

('A`)「はぁ……」

( ・∀・)「人はいつ死ぬかわかんないもんね」

('A`)「は、はぁ……」


ニヤニヤしているが、その目は真剣だった。
なんでそんな真剣なのか俺には理解できず、俺は一瞬戸惑った。


( ・∀・)「クーもそう思うだろ?」

川 ゚ -゚)「黙れ」


17 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:26:08.04 ID:499MDH3Y0
~~~~~~



( ・∀・)「はい、できた」

('A`)「あ、ありがとうございます」

J( 'ー`)し「どうもすみません」


青年とその母親は私たちに頭を下げた。


( ・∀・)「いえいえ、人助けが好きなんで」


私にはわからない。
なんで今、こいつは人助けなんかしているんだ?
私たちのやらなきゃいけないことは、一人でも多くの人間に死を教えることなんじゃないのか?

18 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:27:57.89 ID:499MDH3Y0
車へ戻りながら、男は口笛を吹いていた。


川 ゚ -゚)「嬉しそうだな」

( ・∀・)「そりゃそうさ」

川 ゚ -゚)「なぜ今更人助けなんか……」

( ・∀・)「さっき思ったんだ。僕はやっぱこっちのほうがあってるかなって」

川 ゚ -゚)「……」

( ・∀・)「人を助けることでも、人に生きることを教えてあげることはできるってね」

( ・∀・)「それが僕が今まで命をかけてやってきたことだしね」

川 ゚ -゚)「考えがころころ変わるヤツだ」

( ・∀・)「よく言われるよ」

19 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:29:51.63 ID:499MDH3Y0
男は笑いながら車に乗り込んだ。
その笑い声のせいで、なぜか私まで少しすがすがしい気分になった。
みんな死ねば良いと思っていたのに、なぜだかあの親子には生きて欲しいと思った。


( ・∀・)「さーて、これからどうしようか」


運転席で男が呟いた。


川 ゚ -゚)「人助けの旅でもするか?」


私が冗談で答えると、男は笑って「いいね」と言った。
私は久し振りに笑った。

21 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:32:12.25 ID:499MDH3Y0
車のフロントガラスが割れ、血潮が車内に飛び散った。


川 ゚ -゚)「あ……」


肩と腹に重い衝撃を感じ、力が抜け、私は車の外に倒れ込んだ。
直後に息が止まるくらいの激痛に襲われた。
今にも途切れそうな意識の中、私は銃を構えている人影を見た。
黄色いシャツが、私の血で赤く染まっていく。
一般人と勘違いされたのだろうか。


川 ゚ -゚)「おい、生きてるか?」


男は返事をしない。
あらかた即死だろう。
この出血だ。私もすぐに死ぬだろうな。
でも、そんなことどうでもよかった。
あの親子が、殺される。
初めて助けた人間だった。
そして、私たちを救ってくれた人間だった。
彼らを死なせたくない。
私は腰のナイフに手をかけた。

22 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:33:31.99 ID:499MDH3Y0
~~~~~~~




彼らが乗った車は、一瞬にして蜂の巣と化した。


(-_-)「これはこれは」


小銃を構えた男が静まり返った俺たちを見て呟いた。
乾いた銃声と共に、近くに立っていた女の人の頭から血渋きが舞った。
悲鳴。
倒れた彼女の血が俺の足下まで流れてきた。
さらに1人。
病院のドアに血がこびりつく。
男は笑いながら銃を装填した。

24 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:37:13.65 ID:499MDH3Y0
(-_-)「さーて、次はそこの親子だ」


男が鼻唄を歌いながら俺たちに近づいてくる。
殺される。
どうする?
抵抗しようにも、飛びかかった瞬間撃たれて終わりだ。
もうどうしようもなかった。
ただ、殺されるのを待つだけしかない。


(-_-)「どーちーらーにーしーよーかーな……」


ここで死ぬとは思っていなかった。
ほんとに人はいつ死ぬかわからないもんだ。
俺はカーチャンを手当した男の言葉を思い出した。
まだ親孝行とかしてない。
死んでたまるものか。

26 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:43:15.07 ID:499MDH3Y0
男がカーチャンに銃を向けようとしたその瞬間を狙って、俺は男に飛び付いた。


(;-_-)「うわっ! おまえ!!」


銃声と、カーチャンの叫び声が聞こえたような気がした。
足に力が入らなくなり、俺はその場に膝を着いた。
足に焼けるような激痛を感じ、それでも俺は男の銃を離さなかった。


(;-_-)「このっ! 殺してやる!!」


直後に男が悲鳴をあげた。
顔を上げると、彼の背中にクーがナイフを突き立てているのが見えた。

27 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:44:37.30 ID:499MDH3Y0
~~~~~~



「クー、無事か!! ヒートとお母さんは?」

「まだ家の中に……」

「ちくしょう!!」

「お父さん!!」

「火の中に誰か入ってったぞ!!」

「ダメだ! 追うな!!」

「お父さんが! お父さんが!!」

29 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:46:06.56 ID:499MDH3Y0
『……焼け跡から、素直シャキンさん(47)と妻のシューさん(46)、長男のヒートくん(14)のものと見られる……』


私の家族は死んだ。
人が死ぬ。
知っているようで全く知らなかった。
私は父が嫌いだった。
いつも仕事で家にはいないし、帰ってくれば酒臭い息を吐きかけてくる。
休みの日は昼間までずっと寝ていて、起きたかと思えば競馬をする。
別にどこにでもいる普通の父親だったと思う。
だけど、私はそんな父が何故か嫌いだった。


(`・ω・´)「クーは父さんが好きかー!?」


いつか、酔っぱらって帰ってきた父が私にこんな質問をした。

30 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:47:48.43 ID:499MDH3Y0
川 ゚ -゚)「嫌いだ」

(`・ω・´)「そうかそうか! まあ娘は往々にして父親を嫌うものだからな!」

(`・ω・´)「だが父さんはクーが好きだぞ!!」

川 ゚ -゚)「嘘だ」

(`・ω・´)「嘘じゃないぞ!! クーは家族だからな!! 父さんは家族が大好きだ!!」

ノパ⊿゚)「俺も親父が好きだぞ!!」

(`・ω・´)「息子よー!!」

ノパ⊿゚)「親父ー!!」



父は家族を助けようとして死んだ。
私は家族の死で死を知り、初めて家族の大切さを知った。

32 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:49:30.48 ID:499MDH3Y0
人が死ぬという言葉は、漠然としすぎている。
人が死ぬということを知っていても、自分や、自分の身近な人が死ぬなんてことは知らなかった。
私は後悔した。
そして、いつのまにか人々を憎んでいた。
いつ大事な人が死ぬかもわからないのに、のうのうと笑っていられる奴らを。


だったら、私が殺して教えてやるよ。



そうして私は人を殺した。
たくさん殺した。

36 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:53:33.98 ID:499MDH3Y0
~~~~~~




目が覚めると、病室のベッドの上だった。


J( 'ー`)し「あ、やっと起きたのかい」

('A`)「いっ!?」


体を起こそうとして、足に鋭い痛みを感じた。


J( 'ー`)し「無理するんじゃないよ」

('A`)「うるせえな」


俺は心配そうにのぞき込んできたカーチャンから目線をそらした。

37 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:55:25.39 ID:499MDH3Y0
J( 'ー`)し「ごめんねドクオ、カーチャンのせいで……」

('A`)「カーチャンのせいじゃねえよ。俺がしくっただけだ」


カーチャンが微笑みながら頭を撫でる。
俺はその手を振り払う。


('A`)「そういえば、あの人は?」


クーさんはどうしたのだろうか。


J( 'ー`)し「亡くなったそうよ」

('A`)「そうか……」

J( 'ー`)し「彼女からドクオに伝言よ」

('A`)「俺に?」

J( 'ー`)し「親を大切にしろって」

('A`)「はぁ」


39 名前: ◆r9HqBXUdP. 投稿日:2009/02/18(水) 23:58:01.32 ID:499MDH3Y0
('A`)「親孝行とか、しろってことか」

J( 'ー`)し「ドクオはもう十分親孝行したわ」

('A`)「したか?」

J( 'ー`)し「したわよ。立派なドクオの姿見れたもの」


よくわからない母親だ。
カーチャンは笑いながら俺の頭に手を置いた。
俺はテレビの電源をつけた。
画面には燃え盛る皇居が映っていた。
この国の、長い長い1日が終わったんだ。





  
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